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ポルトガル ポルト
ヨーロピアン・センサリー・ネットワーク:うま味シンポジウム
-Umami symposium in the European Sensory Network Conference

2007年5月開催

2007年5月9日、欧州で人間の知覚についての調査・研究を進めるヨーロピアン・センサリー・ネットワーク(ESN)の本年度学会の一環として、ポルトガル・ポルトのイパネマ・パーク・ホテルにて、うま味と人間の知覚をテーマにしたシンポジウムが開催され、味覚に関する科学を専門とする研究者ら約60人が参加した。
学会のリーフレット ポルトの街

Old Fown warsaw - UMAMI Infomation Center
ルーシー・ドナルドソン博士
シンポジウムは、イギリス、ブリストル大学のルーシー・ドナルドソン博士による、うま味に対する人間の認識および調整についての講義から始まった。 博士は、味を感じる舌の組織の中でも、特に mGluR4 、 T1R1 、 T1R3 などがうま味の認識に関係するとされ、より詳しい調査が進められていることを説明。また物を食べる時の人の気分が、味の感じ方にどのように影響するかについての研究では、うま味は不安な気分の時ほど強く感じられ、甘味や苦味といった基本味とはまったく逆の傾向にあるという結果が出たことを発表した。

続いて ワルシャワ農業大学のニナ・バリルコ‐ピキエルナ博士が「うま味がもたらす食の喜び」に関する講義を行った。食べ物にうま味を加えることにより味覚認識能力が向上することは多くの研究から判明しているが、博士はさらに一歩踏み込み、グルタミン酸、イノシン酸といった具体的うま味成分による味の感じ方の違いについての研究を進めていることを報告した。研究では、鶏のスープストック、野菜スープ、茸のスープおよびグリーンピースのスープの風味の差が、少量のうま味エキスを加えるだけで倍増すること、さらに被験者にうま味を加えたスープを味わってもらった結果、「ブイヨンのような味」「塩味が効いている」「コクがある」などポジティブな感想が増え、うま味を加えないスープに対して挙がった「苦い」「辛い」といったネガティブな感想が減っていることなどが明らかになっている。

ドナルドソン博士の発表より 味覚テスト

オランダ、ワーヘニンゲン大学人間栄養学部の博士課程で学ぶ ナターシャ・エスド博士 は、味覚機能の衰えた高齢者にうま味がもたらす作用についての研究を発表。老人ホームで4週間以上にわたり、うま味を加えた食事が入居者の体力や体重にどのように影響するかを実験したエスド博士は、明確な変化は見られなかったものの、高齢者がうま味成分を含んだ食事を好むことは明らかであり、今後もこのような研究が続けられていくべきであると主張した。 最後の講演者、欧州うま味委員会(European Committee for Umami)のミロ・スムリガ博士は、食物に含まれる天然のうま味が、料理の風味増強の目的で何世紀も昔から利用されてきたことを、古代ローマで作られていた発酵魚のソースなどの例を挙げて説明。また現在世界各地で利用されている固形ブイヨン、ウスターソース、トマトソース、醤油といった主要な調味料のほとんどに、うま味成分が豊富に含まれていること、同じ「食物をおいしくするための素材」でも、摂り過ぎると健康に影響を与える塩分に比べ、うま味成分は安心して使用できることなども強調した。

Porto
古代ローマの調味料ガラム ナターシャ・エスド博士

本イベントで最も明らかとなったのは、古くから親しまれながらも未知の領域であった「うま味」に関する研究が各分野で着々と進められ、その謎が科学的に解明されつつあるということであった。
 
ヨーロピアン・センサリー・ネットワーク( ESN )ホームページ:www.esn-network.com


 
   
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