日時:2009年2月11日(火) 2:30pm-5:00pm
場所:東京築地 つきぢ田村様
オランダはヨーロッパ有数の農業国であり、豊かな農産物を活かした料理文化を育んできた国である。今回世界料理サミット(Tokyo Taste)に参加のため、オランダ料理界を代表するシェフ10名そして、食材業界、食関連メディアからの参加者10名とあわせ、計20名の派遣団が日本を訪れた。今回は10人のうち、8人までがミシュランの星を持つと選りすぐりの派遣団であるが、彼らが日本で学びたいことの一つに、欧州でも昨今関心が高まっている“うま味”があった。その代表のMr. Henk de Bruinより、弊センターへの、うま味を学ぶ機会を持ちたいという申し出を受け、つきぢ田村様のご厚意により、このうま味ワークショップが実現した。
2月11日、総勢20名を迎えて、弊センター二宮理事によるうま味レクチャーとうま味インフォメーションセンターの活動紹介。続いてつきぢ田村二代目主人 田村暉昭(てるあき)氏・料理長乗附英明氏によるだしの引き方の実演・うま味テイスティング、昆布や鰹節などのうま味素材の紹介など、充実したひと時となった。
二宮理事によるうま味レクチャーでは、うま味発見の歴史、基本味としてのうま味の説明そしてうま味を多く含む食材の紹介に加え、弊センターの活動内容紹介などが行われた。シェフたちからは、”舌のどの部分でうま味を感じるのか“など、具体的な質問が寄せられた。
その後田村暉昭氏と乗附英明 氏による出しの説明と昆布だし・一番だし・二番だしの引き方の実演が行われた。昆布のうま味をストレートに味わう昆布だし。昆布のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸のうま味の相乗効果を実感する一番だし、そして二番だしとシェフたちは身を乗り出して、老舗料亭の技を見つめていた。一番だしと二番だしの料理への使い分け、昆布を引き上げるタイミングなどの質問など具体的な問い
があとを絶たなかった。
聴講者たちがだしの味と香りを楽しむ試飲の間、田村氏はだしの素材、昆布や鰹節を示しながら、だしとうま味が日本料理の基本であることを語った。オランダの主要レストランに食材を提供している食材業者の方からは、鰹節の製造工程や鰹節の部位による味の違いなどの質問が寄せられ、そのひとつひとつを丁寧にご説明いただけた。

うま味レクチャー

一番だしデモンストレーション

一番だしの香りをかぐシェフ
そしてテイスティングセッションが始まった。ワークショップ最後のプログラムとして、2種類の茶碗蒸しが登場。
塩、みりん、醤油等の調味料は共通だが、唯一の違いはだしの有無。後で出されただし入りの茶碗蒸しを味
わい、みな、だしの存在の大きさを実感していた。その後、一番だしに季節の食材を合わせた椀物が供され
た。シェフたちは実演の感激をかみ締めつつ、一番だしのうま味と食材の持つ味の調和を味わった。お店の
ご厚意で、ひな祭りにちなんだ季節感あふれるちらし寿司も供され、シェフたちは季節や祭りと密接に結びつ
いた日本料理を実感していた。テイスティングの席には田村氏、乗付氏も同席され、活発な意見交換の場と
なった。Chalet Royal (ミシュラン一つ星)シェフ、Gerrit Greveling氏からは、「来日前からうま味という言葉
耳にしていたが、それが何かは全くわかっていなかった。しかし今回のワークショップのおかげで、うま味と
いう自分にとって全く新しいコンセプトを理解することができた。」と語り、またRestaurant De
Treeswijlchoeve (同一つ星)のDick Middelweerd氏からは、「オランダに帰ったら必ず自分の厨房でこの
だしとうま味を生かしたオリジナルな料理を作りたい」というコメントが述べられた。
今回の記念として田村氏の筆による色紙が視察団全員に手渡され、予期せぬ贈り物にみな驚きを隠せずに
いるとき、視察団のまとめ役、Mr. Bruinより感謝のスピーチ。その後、店内と厨房を丁寧にご案内いただいて
2時間余のワークショップは終了した。
短い時間ではあったが、つきぢ田村様のご協力のおかげで、大変充実したうま味ワークショップとなり、参加
者全員がうま味とだし、そして日本料理への興味を深め、オランダに帰国した。それぞれがそれぞれの立場
で、自らの仕事にうま味を活かしてくれることを約束して。
最後に、祝日にもかかわらず、すばらしい場所と実演をご提供いただいたつきぢ田村様に御礼を申し上げ
ます。

料理長乗附氏による鰹節削り実演

ちらし寿司

田村氏・乗附氏を囲むシェフたち