世界料理サミット2009 TOKYO TASTE」が2009年2月9日から11日の3日間の日程で東京国際フォーラムに於いて開催さ
れ、入場者は期間を通じ約5000人に及んだ。世界8カ国21人の著名シェフが一堂に会し、磨かれた料理を披露することで
各人の料理哲学が語られた。
初日9日のオープニングセレモニーに続く論壇(ディスカッション)では、「東と西の食文化の交流」をテーマに西洋
と東洋の出会い、西洋のダシと東洋のダシ、東洋のうま味と西洋のUMAMI,食材・食品の安全・安心・健康について
フェラン・アドリア氏Ferrab Adria(スペイン エル・ブリ)、ジョエル・ロブション氏Joel Robuchon(フランス ジ
ュエル・ロブション)、ヘストン・ブルメンタール氏Heston Blumenthal(英国 ファット・ダック)、松久信幸氏(米
国 ノブ)の4人のシェフをパネリストに迎え、服部幸應氏がコーディネーターを務め、1時間半に亘る熱い討議が行われ
た。ヘストン・ブルメンタール氏は、「調理と科学の融合は、2004年に京都で開催されたうま味座談会(UIC主催:料理
人と味覚研究者による座談会)でも討議された。この座談会を通じて出合った日本料理のだし・うま味は私の料理のキー
ワード。日本人は昔からうま味の存在に気付き活用してきたが、西洋ではトマトとパルメザンチーズとの組合わせ等で実
践してきているが、うま味を意識することはなかった。 非常にデリケートな味である」松久信幸氏は「世界の共通語と
なったUMAMIは基本味の一つであり、グルタミン酸やイノシン酸といった物質による味であることが科学的にも解明され
ている。 基本味のうま味はおいしさを現す旨みとは違うものである。いかにして海外の食文化に和食の伝統を伝えるか
。和食の真髄を理解して貰うには、現地の食材を活用し、うま味を使うことによって素材の良さを引き立てた料理を提供
すること。」とそれぞれの思いを熱く語った。

オープニングセレモニー

論壇の様子
左から松久信幸氏、フェラン・アドリア氏、ジョエル・ロブション氏、ヘストン・ブ
ルメンタール氏
二日目も多くのシェフのプレゼンテーションで”UMAMI””DASHI”がシェフたちのキーワードとなっていた。
イギリスのトップシェフ、ヘストン・ブルメンタール氏は、昨日のパネルディスカッションでの、日本料理とUMAMIにつ
いての持論を具体的なメニューで展開した。

ヘストン・ブルメンタール氏によるデモンストレーション
そして、三日目最終日 料理人としてはサミットプログラムのフィナーレを飾る徳岡邦夫氏(京都吉兆)は、琴の音
色とともに登場し、「うま味・香り・食感」をテーマとした徳岡邦夫の世界で観客を魅了した。季節感たっぷりの「八寸」
、昆布だしで鶏肉を調理しうま味の相乗効果たっぷりの椀物「鶏汐汁」、「魚 焦げと蒸し、香ばしいソース」では、焼
き石にパルミジャーノチーズを振りかけ、熱々のままトマトソースに投じ、一瞬にして皿の上にうま味の世界を創りあげ
た。そして昨年7月、ジェームスビアードハウスでのマスターピースダイニングでアメリカの美食家たちを魅了した「ピ
ュア・リゾット」で締めくくった。あっという間の一時間、徳岡氏は豊富な海外でのデモンストレーションの経験を織り
交ぜながら、今世界中でうま味への関心が高まっていることを強調した。
世界料理サミットの三日間は、うま味が日本料理の誇るものであり、世界のトップシェフたちが自らの料理にさまざま
な形で取り入れているということを、再認識する嬉しい機会となった。
このサミットの別名はTokyo Tasteであるが、まさにうま味はTokyo Tasteそのものであったと言っても過言ではないであ
ろう。

京都吉兆 徳岡邦夫氏によるデモンストレーション

京都吉兆 徳岡邦夫氏が披露した料理

クロージングセレモニー