2009年2月14日、マレーシア、クアラルンプールのコラスホテルで開催された「シンポジウム-グルタミン酸と第五の味覚うま味についての最新科学情報」のレポートをお届けします。
生命科学者たちの飽くなき研究活動の成果で、うま味とグルタミン酸についての新しい発見が続いている。今回弊センターは、味の素株式会社、マレーシア味の素株式会社の後援を受け、プトラ・マレーシア大学(UPM)との共催によりシンポジウムを行い、うま味の認知やグルタミン酸による生理学的効果と健康的意義についての最新情報をテーマとした公開講座を実施した。
この催しはマレーシアの首都クアラルンプールのコラスホテルで行われ、160名を越す栄養学や食品化学の専門家、同分野の学部生が参加した。まず、UPMの医薬健康科学部の副学部長ロジタ・ロスリ博士から最新科学情報が紹介された。博士は今日の講座はうま味を知り、グルタミン酸の最新情報を得る機会になろうと述べた。そして、3人の専門家がうま味の生理的機能とその機能が科学と社会にもたらす革新的な効果について講演を行った。
講演に先立ち「第五の味覚」と題されたDVDが上映された。そこでは世界の著名シェフや食品化学研究者たちがうま味を紹介し、うま味が食物に果たす重要な役割や料理を更においしくする秘訣などを語った。

UPMの医薬健康科学部の副学部長ロジタ・ロスリ博士による講座

160名を越す栄養学や食品化学の専門家、同分野の学部生が参加

最初の講演者、弊センターの理事二宮くみ氏が第五の味覚「うま味」について論じた
最初の講演者、弊センター理事二宮くみ子氏は、1908年に池田菊苗博士が第五の味覚の存在を確信し、昆布からのグルタミン酸抽出に成功するまでの経緯を説明した。またうま味の基本情報、世界中の料理に含まれている普遍的な味であることを強調した。この間、聴講者にはベラチャン(マレーシアの海老ペースト)、パルメザンチーズ、昆布、トマトなどのうま味を多く含む数種の食材が供され、聴講者はうま味を実感しながら、それぞれのうま味を学んだ。
二宮氏による導入に続き、生物学者、神経科学者そしてモネル化学感覚研究所(アメリカ、フィラデルフィア)所長であるギャリー・ビーチャム博士による講演が行われた。博士はおいしさの認知について、そしてそれが食品の嗜好にどのように関与するかを示す詳細な研究データを説明した。
また、ヒトの味覚的な好き嫌いを特定化する因子の説明と併せ、その因子の分析、用途研究により、肥満や糖尿病、高血圧、心臓病そして癌などの食生活に起因する疾病を防ぐという効果的な医療戦略を紹介した。博士の活発で興味深いプレゼンテーションに参加者は大変印象づけられた。
最後に、味の素㈱生命科学研究所のアナ・サン・ガブリエル博士が、胃のうま味受容体の発見など新しい知見について論じた。博士はうま味受容体が胃に存在することを通じて、グルタミン酸がたんぱく質の消化を促進するという仕組みを説明した。博士はまた、高齢の入院患者の唾液分泌促進と栄養状態の向上を含む広範囲の生理的作用へのグルタミン酸の効果を示す臨床結果を報告した。
この公開講座は、終始多くの肯定的な意見や評価を得た。
発表内容はみな大変興味深い内容で、うま味とグルタミン酸についての知識と理解が深まったことは言うまでもない。

聴講者は数種の食材からそれぞれのうま味を体感

引き続き生物学者、神経科学者そしてモネル化学感覚研究所所長であるギャリー・ビーチャム博士が胎児・幼児・小児期の味覚形成について論じた

最後に、味の素㈱生命科学研究所のアナ・サン・ガブリエル博士が胃のうま味受容体の発見など新しい知見について論じた