食材別うま味情報

食材別うま味情報 昆布

昆布は藻類の中の褐藻類に属す。北海道を中心に広く東北の一部にかけて収穫される。昆布といっても産地によって味は多種多様であり、真(マ)昆布、羅臼(ラウス)昆布、利尻(リシリ)昆布は、主にだし用として使われ、日高(ヒダカ)昆布は煮昆布や炊き合わせなどにも使われ、長(ナガ)昆布はおでんや煮物にむいている。だし用の昆布は2年成長したものを7月から9月にかけて収穫し、その日のうちに乾燥する。昆布にはうま味物質のグルタミン酸が非常に多く含まれている。

  • 昆布収穫

    ©Umami Information Center

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昆布の主な産地

グルタミン酸含有量(mg/100g):

グルタミン酸含有量(mg/100g):

水出し(15分)中の主なアミノ酸

水出し(15分)中の主なアミノ酸

だしを見直そう

 和食の出汁はとてもシンプル。約1000年にもわたる長い間、日本の都として栄えた京都には、遠く北海道から極上の昆布が大切に運ばれていました。殺生を戒める仏教の教えに由来して、肉や魚を使わない、野菜と大豆製品がメインの精進料理が生み出されたのは平安時代のこと。精進料理では野菜をおいしく食べるために、昆布出汁が欠かせません。
 何も味付けをしていない昆布出汁そのものを味わったことがありますか?だし昆布を切り分けてコップなどの容器に入れて水をはり20分ほど置いてみてください。これだけでも昆布から出汁が出ているのがわかります。この水出汁を味わってみると、なんとも表現しがたい、淡く微妙な味わいが口の中に広がります。これが出汁の味を作っている「うま味」です。この「うま味」の成分は、殆どが昆布に含まれていたアミノ酸であるグルタミン酸とアスパラギン酸です。

昆布だし

 昆布出汁を沸騰させたところに、たっぷりの鰹節を加えて濾したものが「一番出汁」。鰹節が昆布出汁に加えられる時間はほんの数秒という僅かな時間ですが、一番出汁は昆布出汁よりもうま味が強く、そして鰹節のよい香りが加わります。鰹節に含まれているうま味成分はイノシン酸。昆布のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸が出会うことで出汁のうま味は、ぐんと強くなります。昆布と鰹節がお互いを生かし合う見事な相乗効果です。

一番だし

ヒラメの昆布〆

 高級魚の代表格のヒラメ。白身の透き通るようなお造りは、緻密な肉質でコリコリとした食感、脂質が少なくさっぱりとした味わいが特徴。その味わいを一層引き立てる調理法に「昆布〆(しめ)」があります。作り方(下記参照)はいたってシンプルですが、ヒラメのうま味が増し、一段とそのおいしさが引き出されます。

【ヒラメの昆布〆の作り方】

  • 1. ヒラメを 五枚卸し(上身背・腹、下身背・腹、骨の5つに分けたもの)か、七枚卸し(五枚卸しに背と腹の縁側を別にしたもの)にする。

  • 2. 昆布は乾いた布巾で汚れを拭き取る。

  • 3. 昆布1枚の上に1のヒラメを並べ、上にもう1枚の昆布をのせる。

  • 4. ラップできっちりと包んで冷蔵庫で一晩置く。

  • 5. 薄く削ぎ切りにする。
    1で先にヒラメを薄く削ぎ切りしてから昆布に並べる場合は、冷蔵庫で2〜3時間でしまります。

ヒラメの昆布〆

それでは、実際にヒラメの「うま味」に変化が見られるのでしょうか?
図は、ヒラメの刺身と刺身の昆布〆のアミノ酸と核酸を分析し、比較したグラフを示しています。

分析の結果、ヒラメの刺身には100g中12mgのグルタミン酸がありますが、昆布〆したヒラメの刺身100g中には320mgものグルタミン酸が含まれていました。また、昆布に特有のアスパラギン酸も増加していました。一方核酸系のうま味物質のイノシン酸の量には変化が見られませんでした。
グルタミン酸は、真昆布100g中に約3000mg(3g)も含まれていることから、ヒラメに昆布からのうま味がしっかりと移ったものと言えます。まさに昆布の力です。

ヒラメの刺身と刺身の昆布〆のアミノ酸と核酸比較