活動履歴
フィリピン マニラ うま味シンポジウム
Umami Symposium in Manila

2008年1月開催
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2008年1月25日、フィリピン、マニラのブルー・リーフ・イベント・パビリオンで、フィリピン食および栄養研究所(FNRI)科学技術部主催によるうま味シンポジウムが開催された。同国でのうま味シンポジウムは今回が初めてであったにも関わらず、うま味というテーマに強い興味を持つ研究者、栄養専門家、シェフ、メディア関係者など71人が参加した。
シンポジウムはFNRI栄養科学技術部の科学研究部長セレステ・タンチョコ教授の司会進行によってスタート。開会にあたり、祈祷式、国歌斉唱が行われ、続いてFNRI理事、マリオ・カパンザーナ博士からの挨拶文が読み上げられた。フィリピン国民の健康と食の安全を守り、食品の質や栄養についての調査を担当する政府系団体であるFNRIは、現在うま味およびグルタミン酸の効果について大きな関心と期待を持っており、国民にうま味の知識と魅力を広めるべく、うま味インフォメーションセンター(UIC)との提携で本シンポジウムの開催を実現させた次第である。 |

二宮くみ子氏の講義 |
最初の講師、UIC理事の二宮くみ子氏は、まずうま味の概念と科学を紹介した後、世界各国のうま味に関する新聞や雑誌記事の切抜きを示し、今やうま味が世界各地で“ホットな話題”となっていることを証明した。二宮氏はまた、今年がうま味発見100周年にあたることについても触れた。参加者は氏の講義に熱心に聴き入り、いくつかの質問も上がった。参加者の一人は、他の4つの基本味はそれぞれ舌にその味を強く感じる部位があることを指摘、二宮氏はそれに対し、うま味をもっとも強く感じるのが、味蕾(みらい)の多く集まる舌の奥の部分であるが、実際にものを食べるときは舌全体で味を感じていることを解説した。
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田辺氏によるだしの実演 |

続いて、現地で活躍する日本料理人、田辺氏により、かつお節と昆布を使った日本のだし作りのデモンストレーションが行われた。調理過程は会場の大スクリーンに映し出され、二宮氏の通訳で、一番だしと二番だしの違いなどが説明された。またうま味を豊富に含むフィリピン伝統料理としてティーノーラ(鶏のスープ)が取り上げられ、参加者がパティス(フィッシュソース)で調味されたティーノーラと、パティスの代わりに塩で調味されたティーノーラを飲み比べる場面もあった。参加者は一様に、パティスを使ったティーノーラを「より豊か」「より濃厚」「肉のよう」など、塩を使ったものより“好ましい味”と評価した。 |
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ティーノーラ |
この試食セッションにより、参加者がうま味を確かに認識でき、それを的確なフィリピンの言葉で表現できることが判明した。実際、フィリピンには、うま味に近い味を表現する "malinamnam " という言葉がある。これは単に美味しさや味のよさを表現する "masarap" という形容詞とは区別して使われるものである。第二の講師、フードジャーナリストのナンシー・レイエヌ・ルーメン氏が、" 'The UM Factor: It's All Over The Filipino Menu" (フィリピン料理のすべて)と題して講演を行いこの話題についても取り上げた。ルーメン氏は "malinamnam"と表現される味すべてがうま味とは限らないが、逆にうま味はすべて "malinamnam" という言葉で表現できることを説明、また美味しいものを食べた時の世界共通の表現"ummmm"が、"umami" という言葉と近いことなど、ユニークな話題で、参加者を惹き付けた。氏はまた、うま味が "生きるための食"と "快楽のための食"を分けるものであること、さらに、うま味が母乳にも含まれており、人類誰もが認識できる世界共通の味であることを強調した。
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ナンシー・レイエヌ・ルーメン氏 |
ルーメン氏は続いて、フィリピン料理とうま味の関係について説明した。魚料理にさえ魚のだしを使い、フィッシュソースで調味するのを見てもわかるように、フィリピン料理にうま味は欠かせないものであり、うま味料理は古代から存在していた。スペインの植民地時代に食生活はずい分と変わり、伝統が崩れてしまった場面もあったものの、スペイン人から伝わった「Sofrito(ソフリト)」という調理法、そしてこの調理法で作られるにんにく、タマネギ、トマトのソース「gisa(ギサ)」は、現在のフィリピン料理に欠かせない材料となっている。
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会場の様子 |
ルーメン氏はさらに、鶏や豚を醤油、酢、にんにくなどと共に煮込んだフィリピンの国民的料理アドボや、試食コーナーでも登場した発酵魚のソース、パティスについても言及した。さまざまな種類のフィッシュソースに含まれるグルタミン酸の量を示したチャートでは、パティスに含まれるグルタミン酸が3番目に多いことが示されていた。ルーメン氏はフィリピンの食品製造業者のうま味に対する認識が高まれば、質の高いパティスを海外へ輸出するようになり、フィリピンの食に対する海外からの評価が高まるだろうと語った。氏は最後に、ジャンクフードの氾濫で肥満率が高まり、人々が体重や健康を気にするようになった現代、食物の脂肪分を増やすことなく美味しさを加えるうま味は、これからの時代とくに受け入れられるだろうと強調した。
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ウィルマ・モラノ氏 |
FNRIの栄養評価および監査部で科学調査スペシャリストの監督を務めるウィルマ・モラノ氏は、「グルタミン酸を含む食品の消費」と題したFNRIの研究結果を発表した。氏は、都市部および地方に住むフィリピン人のグルタミン酸の消費量について論じた後、グルタミン酸およびMSGを含まない食品を摂る傾向は、年齢や地域と同様、個人の感じ方やコミュニティの持つ信念に左右されるものであり、従って、人々がグルタミン酸についてきちんと理解をするために、正確で最新の情報を普及させることが必要であると結論付けた。
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質疑応答中のマリオ・カペンザーナ博士 |
最後に行われた質疑応答コーナーでは、MSGにネガティブな効果があるといった推論は誤りか否か、といったものから、卵に含まれるうま味に関するものまで、さまざまな質問が飛び交い、参加者がうま味というテーマにさらなる関心を強めたことがうかがえた。
フィリピン食および栄養研究所(FNRI): http://www.fnri.dost.gov.ph/ (英文のみ)
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