フランス パリ うま味セミナー
Umami Seminar, The Ecole Ferrandi in Paris 2008年1月開催
パルボ氏と長江氏の調理の様子
美と食の都、パリ。日本料理とフランス料理のコラボレーションに世界の注目が集まる今、パリほどこのセミナーにふさわしい場所はないだろう。2008年1月28日、欧州うま味委員会(European Committee of Umami)とパリの歴史ある一流料理学校、フェランディ(Ecole Ferrandi)の合同主催、うま味インフォメーションセンターの後援でうま味セミナーが開かれた。会場となったフェランディは1920年に設立された由緒ある学校で、一流の講師陣を集め、13歳以上の、一般の学生、プロのシェフ、海外からの留学生まで、さまざまな生徒を受け入れている。このセミナーには同校の学生をはじめ、フードジャーナリストや日本文化に興味を持つ報道関係者ら、計52名が参加、有名シェフの講義に熱心に耳を傾けた。
次に、2000年にオープンしたパリの3つ星レストラン「ラストランス(L'Astlanace)」のオーナーシェフ、パスカル・バルボ氏による講演とデモンストレーションが行われた。バルボ氏は素材の質に徹底的にこだわり、食材本来の味を活かすため、必要最小限の加工のみをほどこす技法で知られている。デモンストレーションの中でバルボ氏は「私は初めてうま味という言葉を聞いたとき、じつはよく理解できなかった。しかし今では私の料理にとって最も重要な要素の1つになっている。新しいレシピを考えるときはいつも、そのレシピのなかでうま味がどのような役割を果たすのか、塩味、甘味、スパイスの味とのバランスを考え、うま味をどのようにを利用するのがもっとも効果的なのかを考えている」と語った。今回披露したのは、バター、トリュフにだしを加え、生姜、柚子、すだちで味付けをした「Tartare de Saint-Jacques au Bouillon(ホタテ貝のタルタルソース)」と、バター、卵、生クリームをベースにしたパルメザンフォンデュに蕪とクルミをそえた「Navet a la Pate de Noix-Parmesan et au Fondu de Parmesan(蕉とくるみとパルメザンチーズのパテ カブ、チーズソース添え)」の2品。だしを活かした独創的な料理に、参加者たちからは驚きの声が上がった。
「ホタテ貝のタルタルソース」
「蕪のくるみとパルメザンチーズのパテ、
パルメザンチーズのソース添え」
長江桂子氏
最後はミッシェル・トロワグロ氏が経営するパリの1ツ星レストラン「ラ・ターブル・ランカスター(La Table du Lancaster)」のシェフ・パティシエ・長江桂子氏による講演とデモンストレーション。長江氏はパリに本拠地をおきながら、日本独特の創造性と繊細さを受け継いだデザートで注目を集め、マドリードで開催されたフュージョン料理イベントでデモンストレーションを行うなど、世界を舞台に活躍、ミッシェル・トロワグロ氏の特徴である柑橘類の酸味をふんだんに使ったデザートには定評がある。今回は、フランス料理本来の素材であるバター、砂糖、ジャム、クリームを基本に、東洋と西洋のうま味食材を組み合わせたデザート2品を紹介。緑茶クリームのケーキを海苔でくるみ、レンコンで飾り付けた「Gateau de Lotus a la Crème au The Vert (レンコンとなめらかな抹茶クリーム)」と、カプチーノにトリュフをあしらった「Cappuccino de Truffe(トリュフのカプチーノ仕立て)」は、きのこ類や海苔という普通はデザートには使わない意外な素材を用いながらも、そのうま味を巧みに活かしたことで、参加者の反応は上々だった。
「トリュフのカプチーノ仕立て」
「レンコンとなめらかな抹茶クリーム」
セミナーでは「Umami the world」のフランス語版「Umami le Monde」が参加者全員に配られた。また参加者からは、「今日新しく得た知識を早速料理に活かしたい」という声が多く聞かれ、人々のうま味への興味と理解がさらに深まったことを実感させられる一日となった。
Ecole Gregoire-Ferrandi: http://www.egf.ccip.fr/(フランス語のみ)
L'Astrance
4 rue Beethoven
75016 Paris