PLANT BASED ✕ UMAMI

「No Code」の米澤文雄シェフ VOL.1

  • No Code 米澤文雄

植物由来の材料でつくられた料理や食品のことをプラントベースフードと言いますが、これを一層おいしく食べるための、ひとつのポイントが「うま味」です。うま味を上手に活用することで植物由来の材料がとびきりおいしい料理になります。

今回は東京・西麻布のレストラン「No Code」の米澤文雄シェフです。米澤シェフは2002年に渡米し、ミシュラン三ツ星常連の高級フレンチ「Jean-Georges」本店(ニューヨーク)で日本人初のスー・シェフに就任。帰国後、国内の名店で料理長を歴任し、2022年にオーナーレストラン「No Code」を開業しました。レストラン運営にとどまらず食育や商品開発など幅広い分野で活躍されています。

米澤シェフはヴィーガン料理に造詣が深いことで知られています。その理由はヴィーガン料理を好む方が多いアメリカでの経験です。世界中を食べ歩く方々の中にはヴィーガンの方も多いのですが、動物性のものを食べる方と同じテーブルで一緒に楽しむ様子に多様性を感じたと話されます。そして帰国後の2018年、東京・青山に熟成牛肉の炭火焼がメインの「The Burn」のエグゼクティブ・シェフに就任。その際にどなたでも食べられるヴィーガンメニューを5品程度オンリストしたところ、その料理に魅了されたお客さんが多かったそうです。

「ビーガン=ヘルシー=体にいいではなく、おいしいから選ぶ料理であってほしい。ビーガンじゃない人たちが食べておいしいビーガン料理が僕のゴールだった」と米澤シェフ。そのおいしさの秘訣は、世界中の様々な知恵からうまれたコンディモン(手作り調味料)やスパイスなどをうまく組み合わせること。そして、うま味を活用して味のボリューム感を出すことだと話されます。

例えばニンジンのスパイスローストは、一度茹でて、その後にスパイスと共にマリネをして焼く。そして焼く時も乾燥させるようにじっくり焼いてうま味を残す。野菜のうま味を残すポイントは、野菜には水分がたくさんありますが、その水分を減らしても甘みや塩みなど、その素材が持っている味わいは飛ばない。つまりうま味もそのまま残ります。水分量を調整してうま味を濃くする手法は米澤シェフはよく取り入れているそうです。

さて、その米澤シェフのお店「No Code」のコース料理の最初は、そのヴィーガン料理だけ9品が並ぶ重箱のようなボックスです。全部1口ずつの料理で、米澤シェフならではのビーガンメニューを季節ごとに味わうことができます。

「No Code」の米澤文雄シェフ VOL.2