うま味を活かす

うま味を活かす

1 . うま味の相乗効果

うま味物質であるアミノ酸系のグルタミン酸ナトリウムと核酸系のイノシン酸ナトリウム、
グアニル酸ナトリウムとが合わさるとうま味の強さを非常に強く感じます。
これをうま味の相乗効果といいます。 いろいろなだしを使って体験してみましょう。

昆布だしとかつおだし

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム
イノシン酸ナトリウム

 まず、昆布だしかつおだしそれぞれのうま味を確かめてから相乗効果を体験します。

※昆布だし、かつおだしの作り方は「うま味を知る」を参照。

味わい方

  • 昆布だし(2%)を少し口に含み、舌に広げ、昆布だしのうま味を味わいます。
  • ここで水を少量飲み、口をすすぎます。
  • 次にかつおだし(3%)を少し口に含み、かつおだしのうま味を味わいます。
  • 次に残った昆布だしとかつおだしを合わせます。
  • その合わせただしを、ゆっくりと味わってみましょう。

 先に味わった昆布だし、かつおだし各々のだしよりも2つのだしを合せたの方がうま味を強く感じたと思います。これがうま味の相乗効果です。単独のだしよりも7~8倍のうま味の強さがあります。和食の基本となる一番だしは、この昆布だしのうま味成分のグルタミン酸ナトリウムとかつおだしのうま味成分のイノシン酸ナトリウムによるうま味の相乗効果を利用しています。

昆布だしとかつおだし

野菜ブイヨンとチキンブイヨン

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム
イノシン酸ナトリウム

 野菜のみで調理した野菜ブイヨン(グルタミン酸ナトリウム)と鶏肉だけで作ったチキンブイヨン(主にイノシン酸ナトリウム)を使い、うま味の相乗効果を体験します。

※野菜ブイヨン、チキンブイヨンの作り方は「うま味を知る」を参照。

 まず、野菜ブイヨン、チキンブイヨンそれぞれのうま味を確かめてから相乗効果を体験します。

味わい方

  • 野菜ブイヨン(食塩0.3%)を少し口に含み、舌に広げ、野菜ブイヨンのうま味を味わいます。
  • ここで水を少量飲み、口をすすぎます。
  • 次にチキンブイヨン(食塩0.3%)を少し口に含み、チキンブイヨンのうま味を味わいます。
  • 次に残った野菜ブイヨンとチキンブイヨンとを合わせます。
  • その合わせただしを、ゆっくりと味わってみましょう。

 先に味わった野菜ブイヨン、チキンブイヨン各々のだしよりも2つのだしを合せたの方がうま味を強く感じたと思います。これがうま味の相乗効果です。単独のだしよりも7~8倍のうま味の強さがあります。 西洋料理や中華料理の基本となるブイヨンや湯(タン)は、この野菜ブイヨンのうま味成分のグルタミン酸ナトリウムと肉や魚のうま味成分のイノシン酸ナトリウムによるうま味の相乗効果を利用しています。

野菜ブイヨンとチキンブイヨン

2 . 味の調和

野菜ブイヨンにはうま味物質であるアミノ酸系のグルタミン酸ナトリウムが含まれており、
更にグルタミン酸ナトリウムを足すことでうま味の強さの違いを比べることができます。
野菜ブイヨン(作り方は「うま味を知る」を参照)
その野菜ブイヨンにグルタミン酸ナトリウムを加えたものを比べてみましょう。

野菜ブイヨンと野菜ブイヨン+グルタミン酸ナトリウム

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム

材料

  • 野菜ブイヨン 800g
    (1ℓの水から調理すると約800㎖の野菜ブイヨンができます。)
  • ・塩 0.3%(2.4g)
  • ・グルタミン酸ナトリウム 0.4g(400gの0.1%)

作り方

  • 1. 野菜ブイヨンに0.3%の食塩を加える。
  • 2. 野菜ブイヨンを400㎖ずつに分ける。
  • 3. 片方に0.1%のグルタミン酸ナトリウムを加える。

味わい方

  • まず野菜ブイヨンを少し口に含み、舌に広げ、野菜ブイヨンのうま味を味わいます。
  • 次に野菜ブイヨンにグルタミン酸ナトリウムを加えたものを少し口に含み、ゆっくりと味わってみましょう。

野菜ブイヨンと野菜ブイヨン+グルタミン酸ナトリウム

味の印象はどうでしたか?

の野菜ブイヨンは、にんじんやセロリなどの野菜の味がバラバラに感じられたと思います。

次に味わったのブイヨンではうま味が足されたことでうま味が強くなっただけではなく、全体にまとまりが感じられるようになります。これがうま味の効果のひとつです。

3 . うま味の減塩効果

野菜ブイヨン(作り方は「うま味を知る」を参照)
その野菜ブイヨンにチキンを加えたもの(作り方は以下を参照)を比べてみましょう。

野菜ブイヨンと野菜ブイヨン+チキンブイヨン

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム
イノシン酸ナトリウム

材料

  • 野菜ブイヨン(食塩0.3%を加えたもの) 400g
  • ・鶏ムネ挽肉 100g

作り方

  • 1. 鍋に野菜ブイヨン(食塩0.3%を加えたもの)と鶏ムネ肉のひき肉を入れ、肉を分散させる。
  • 2. 中火にかけ、鶏肉に火が通るまで十分に加熱する。
  • 3. ザルに布巾かペーパータオルをしき、アクごと濾す。

野菜ブイヨンと野菜ブイヨン+チキンブイヨン

味わい方

  • まず野菜ブイヨンを少し口に含み、舌に広げ、野菜ブイヨンのうま味を味わいます。
  • 次に野菜ブイヨンに鶏肉を加えたブイヨンを少し口に含み、ゆっくりと味わってみましょう。

野菜ブイヨンと野菜ブイヨン+チキンブイヨン

味の印象はどうでしたか?

の野菜ブイヨンは、0.3%の食塩ではかなり物足りない味に感じられたと思います。

のブイヨンは野菜ブイヨンに鶏肉を加えて作ったものです。通常のスープ類は塩分が約0.7~0.9%ですが、このブイヨンにも野菜ブイヨンと同様に食塩が0.3%しか入っていません。

野菜ブイヨンと比べるとそれほど物足りないとは感じられません。うま味がしっかりとあると塩味が弱くても味全体の物足りなさを減らすことができます。

このようにうま味を活用すると上手に減塩することができます。