PLANT BASED ✕ UMAMI

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.2

  • 菊乃井 村田吉弘

VOL.1では「菊乃井」さんのプラントベースの時の出汁についてうかがいました。
すぐにそのお料理をいただき、出汁のおいしさに感激したのですが、 「出汁はオールマイティではないですよ」と言われた村田シェフ。

その理由は、昨今、出汁が万能のように言われていることに助言されるもので、出汁に頼らなくても料理はおいしくなるというものでした。最近ではTVの料理番組で出汁いらずのメニューを提案されているそうです。例えば、切り干し大根を炊くのに、切り干し大根の戻し汁と、干し椎茸の戻し汁をちょっと入れて、椎茸を刻んで一緒に入れて、油揚げを刻んで入れて炊けば、別に出汁はいらないというような考え方です。つまり、うま味の強い食材を掛け合わせて使うことで、わざわざ出汁を加えなくて良いのです。

「出汁がオールマイティなのではなく、うま味がオールマイティなんですよ」と村田シェフ。

うま味の相乗効果といえば、グルタミン酸とイノシン酸が代表格で、昆布とかつお節の出汁を筆頭に、うま味が7~8倍に強くなりますが、そうした「掛け合わせ方」を考えながら調理をすれば、あえて出汁を足すことなくおいしくなるということですね。

季節の情感もお皿に組み込みます

村田シェフが料理をつくられる上で大事にされていることとは?と聞くと「香りと食感とうま味、これが日本料理の基本です」。加えて、春は春の情感、秋は秋の情感を組み込むこと。日本料理が世界で最もメッセージ性が高い料理といわれるゆえんで、お皿の中にメッセージや季節の情感が組み込んでこそ、日本料理は成立するんだと話されます。
さて、VOL.3では村田シェフにうかがった、うま味と料理についてお話ししましょう。

最初のお料理八寸は春らんまんです

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.1

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.3