間違いだらけの「おいしさの表現」
「味」と「味わい」
の正しい使い方

「このイチゴの味は、新
鮮でおいしい!」の
表現は間違っている

テレビのグルメ番組を見ていると、イチゴ畑に入り、もぎたてのイチゴを食べて、「このイチゴの味は新鮮でおいしい」とコメントする場面に出会います。このコメントは、間違っています。

イチゴを噛んだ時の味覚

イチゴを噛むと果汁が口の中いっぱいに広がり、甘酸っぱい味とイチゴ独特の甘い香りが感じられます。甘酸っぱい味とイチゴ独特の甘い香りは、全く別の感覚で感じています。「甘酸っぱい味」は五感の中の味覚という感覚で、また「イチゴ独特の甘い香り」は嗅覚という感覚で感じています。
私たちは、風邪をひいて鼻が詰まっていると、何を食べてもおいしくありません。この時に、多くの人は「食べ物の味がしなくておいしくない」と言いますが、これは正しい使い方ではありません。正しくは「香りがしなくておいしくない」と表現すべきです。たとえ鼻がつまっていても、すりおろしリンゴの甘味を感じることができます。でも、鼻がつまっていると、私たちにリンゴであることを教えてくれる「リンゴの香り」がわからなくなっているからです。

全く別の感覚で感じる

皆さんは、子供の時に嫌いな野菜を食べる時に、お母さんに鼻をつまんで食べなさいと言われ、食べた経験がありませんか。これは、鼻をつまむことによって、嫌いな野菜の香り(口中香)をわからなくする方法だったのです。一度、食べ物を食べている時に、鼻をつまんで食べ物の香り(口中香)を無くしてみてください。おいしさにおける「香り」の大切さがわかるでしょう。

香りは食べ物のおいしさを決定する要因

「味」と「味わい」の違い

おいしさには、下記の図に示すように、たくさんの要因がかかわっていて、五感で食べ物のおいしさを評価しています。とりわけ、味と口の中にいれた時に感じる香りはとても大切です。多くの人が、食べ物を口の中に入れて咀嚼している時に感じている味、香り、食感、温度のすべてを「味」と表現していますが、「味わい」と表現することが正しい使い方です。

おいしさの要因

もぎたてのイチゴを食べた時には、「このイチゴの味わいは、
甘酸っぱくて、甘い香りがしておいしい」と
表現するのが正しいのです。

間違いだらけの
「おいしさの表現」