世界に広がるうま味の魅力
世界に広がる日本食ブーム

日本食は世界各国で空前のブームです。ニューヨーク、ロスアンゼルス、パリ、北京などでは、“すし”だけではなく多くの日本食が大人気です。日本食ブームが世界的に広がっている理由の一つは、日本食の特徴であるうま味が、新鮮な味として広く受け入れられたことにあります。
確かに欧米の食品にもグルタミン酸を豊富に含む食品はありますが、他のいろいろな味物質が濃厚に混在しているので、味わっただけではうま味が入っているかどうか分からないものが多いのです。フランス料理でも、中華料理でも、濃厚な料理にソースをかけたり、濃いスープと一緒にじっくり煮込むのが普通です。

世界各国で空前の日本食ブーム

  • 日本食の栄養バランスがいい
  • うま味が新鮮な味として受け入れられた
日本食画像
日本食画像
日本食画像
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日本料理では出来るだけ素材本来の味を味わえるようにしています。素材の味が隠れてしまうような味付けにしてはいません。日本食ではコンブやカツオブシの“だし”をよく使いますが、この“だし”はほとんど純粋なうま味溶液です。濃厚な味付けをしない日本食の味は、うま味がそのまま感じられる味になっています。日本料理の料理人だけではなく、フランス料理のシェフたちもうま味に大変な関心を示しています。パリのフランス料理のシェフのなかには、うま味を隠し味として使っている人もいると聞いています。
うま味インフォメーションセンター(UIC)は、うま味を科学的に理解してもらうためのNPO法人です。日本の各地で、うま味に関する講演会を開いたり、和食、中華料理、フランス料理のシェフが、それぞれの分野の料理でうま味がどのように使われているかを、実地でデモンストレションをする活動を行ったりしています。
二宮くみ子理事は、アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカの各地で、うま味に関する科学的な講演を行っています。その数たるや年間50回を超えています。
20018年、ニューヨークで、「うま味フォーラム」が開催されました、この会は、味の素㈱とアメリカのうま味協議会とUICの共催で、約250名強が参加しましました。

ワールドうま味フォーラム登壇者
ワールドうま味フォーラム登壇者
(左端:Dr. Beauchamp, 左から3人目:当センター理事 二宮)

料理研究家、大学教授、食の歴史研究家など各界の有識者が、食や栄養、歴史、化学などさまざまな視点から「UMAMI」についての講演を行うほか、「MSGの誤解を解く」と題したパネルディスカッションを行いました。このなかで日本を代表して、二宮理事はうま味に関する歴史的・科学的な講演を行いました。参加者の大部分はアメリカ人なので、うま味の全容をはじめて聞く人も多くいました。
この会では、異なる分野の専門家がMSGにまつわるネガティブイメージや間違った認識をどのように変えていくべきかの意見が交わされました。出席者のほとんどがアメリカ人の会で、このような建設的な議論が出来たのは画期的なことです。
日本人が発見したうま味が、今や世界に誇れる時代になったのです。

世界に広がるうま味の魅力