世界に広がるうま味の魅力
食材中のうま味物質含量

グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのうま味物質が発見されて以来、各種の食材中のうま味物質含量が調べられてきました(図6)。グルタミン酸は、植物性食材と動物性食材にまんべんなく含まれています。これに対して、イノシン酸はサカナや肉など動物性食材に、グアニル酸は干しシイタケのような乾燥させたキノコ類のみに含まれています。このようにうま味物質は特定の食材だけではなく、多くの食材に広く含まれています。

食材中のうま味物質含量
図6 食材中のうま味物質含量

ところで、生のカツオよりカツオブシの方が、イノシン酸を多く含んでいます(図6)。もともとイノシン酸はATP(筋肉中に多呈に存在するエネルギー源物質)の分解により生成されますが、細胞が死ぬとATPの分解が始まりイノシン酸が生成されます。これがカツオブシの方が含量の多い所以です。よくサカナは絞めてから、数時間寝かせた方がおいしいと言われています。絞めたてのときはATPの分解が始まらないのでイノシン酸含量は低いのですが、数時間寝かせておくとATPが分解されてイノシン酸含量が増えるのでおいしくなるのです。
グアニル酸は、細胞内に存在するリボ核酸の分解により生成されます。シイタケが干されると、細胞が破壊されリボ核酸が分解酵素と接触するようになり、グアニル酸含量が増えます。

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