うま味インフォメーションセンター

活動報告

Culinary Institute of America (CIA) 第13回 World Of Flavors

2011.01.01

日時 2010年11月4日(木)~6日(土)
会場 Culinary Institute of America at Greystone (St. Helena, CA、世界有数のワイン産地と知られるNapa Valley近郊、CIAは米国最大の調理師学校であり、NY、シンガポール等世界4箇所にある。)
テーマ 「JAPAN:FLAVORS OF CULTURE~From Sushi and Soba to Kaiseki : A Global Celebration of Tradition, Art, and Exchange」
招聘者
(Presenter)
日本及びEU、ペルー等、世界各地から、シェフ及び食品関係者94名
参加者 米国を中心にシェフ、食品企業関係者、レストラン経営者等 約700名

昨年11月、アメリカ、カルフォルニアのCulinary Institute of America (CIA) で 第13回 World Of Flavors が開かれました。今回のテーマは日本。多くの料理人たちがうま味とだしについて語り、オリジナルのレシピを届けました。

三日間にわたるイベントでは、懐石料理からお好み焼きやラーメンまで、あらゆるジャンルの日本料理が紹介された。 また、海外で活躍する日本人シェフによるプレゼンや、アメリカ人シェフ達が日本での体験を生かし、日本料理のコンセプト を取りれた独自の料理を紹介した。日本料理の基本となる「だし」と「うま味」については、多くのセッションやワークショップ で紹介された。UICは菊乃井の村田吉弘氏、元The Fat Duck(UK)のLaboratory Kitchen、Head ChefのKyle Konnoughton氏、 フードジャーナリストのHarold McGee氏の協力を得て下記のセミナーを開催した(協賛:味の素㈱)

「Building Umami with the Japanese Market Basket ~日本の素材で作るうま味。

アメリカ人シェフに伝えるうま味の演出と技法について~」(11/4PM、参加者93名)

本セミナーでは、「だし」と「うま味」のコンセプトを伝えるとともに、昆布、カツオ節、干ししいたけといった日本の素材を使った 基本的なだしに加えて、米国でも手軽に手に入れることができる素材を使った新しい「だし」の提案を行った。

村田氏による新しい'だし'の提案:
「'だし'とは限りなくカロリーがゼロに近くうま味のある液体」

(1)

ドライトマト、ドライモリーユ(編み笠茸)と鶏胸肉によるだし:ドライトマトのグルタミン酸、ドライモリーユのグアニル酸、 鶏胸肉のイノシン酸による相乗効果を生かしただし。
(2)
上記のだしを使った'茶碗蒸し'と'ほうれん草のお浸し'
Konnoughton氏による新しい'だし'の提案:
鶏肉、野菜、昆布、ドライトマトを素材に圧力鍋を使って短時間で効率よくうま味成分を素材から引き出した 'だし'を低温下で三日間かけて濾したクリアな'チキンだし'が紹介された。 低温下での濾過によって油脂分や ゼラチン質が取り除かれた、大変クリアでしかもうま味の強い、まさに、村田氏が提案した'だし'のコンセプトに合った 'だし'の提案であった。従来のブイヨン調理のように長時間の加熱、灰汁の除去という作業の手間を省き、しかも、 油脂分をきれいに取り除くことができる画期的な提案だった。


翌日(11月5日)に行われたキッチンワークショップでは、村田氏がうま味の相乗効果を活用した伝統的な日本料理の一つである鯛の昆布〆 (鯛のイノシン酸と昆布のグルタミン酸による相乗効果)、昆布締めの素材を西洋素材に置き換えて、鶏肉(イノシン酸)の生ハム (グルタミン酸)巻きグリルを紹介。日本の素材にこだわることなく、うま味をうまく活用した新しい料理はうま味活用の新たな ヒントを与る一品となった。Kyle氏は加圧調理・冷凍清澄法によるチキンだしを用いたお吸い物を紹介し、参加者は濃厚な うま味を持ちながらも脂肪やゼラチンを含まず、ダブルコンソメを思わせる素晴らしいお吸い物を堪能した。

 そのほか、三國清三氏、徳岡邦夫氏、高橋義弘氏、下口秀樹氏、小西紀郎氏、Hiro Sone氏、Hiroko Shimbo氏、David Kinch氏、 David Chang氏、Douglas Keane氏、Nicolaus Balla氏等、多くのシェフ達が'だし'と'うま味'を生かした料理を披露した。