うま味インフォメーションセンター

活動報告

うま味ライブinバンコク

2011.05.01

日  時 2011年3月14日
会 場 バンコク スコータイホテル
主 催 うま味インフォメーションセンター
協 賛 スコータイホテル、タイ味の素株式会社、味の素株式会社
参加者 タイ在住の料理人、食品業界関係者、メディアの皆さま(約80名)

本イベントご案内資料(英語)

2011年3月14日、バンコクにてうま味ライブinバンコクが開催され、タイの料理界を代表するシェフや食品・レストラン業界、メディア等から約80名が集った。近年、タイでは経済の発展とともに、料理界も著しいスピードで発展している。その一方で、生活習慣病の罹患率の増加が進む等、食生活の見直しが迫られている。
そこで、今回のイベントではうま味を活用したヘルシーな食の提案が主題となった。

冒頭、うま味インフォメーションセンター理事 二宮くみ子より、参加者及び関係者一同に対しての感謝の辞が述べられた。3月11日に発生した東日本大震災により、開催自体が危ぶまれたが、参加者からの多くの励ましの言葉と、タイの協賛企業や関係者一同からの多大なるご支援を頂いたことに対し、厚く御礼申し上げた。

続いて、うま味インフォメーションセンターのImm Eugeneからうま味の基本的な情報が紹介された。合わせてうま味そのものの味と効果をご理解いただくために、 グルタミン酸を多く含むパルメザンチーズ入りのニョッキとプレーンなニョッキ、2種の比較も行った。 うま味を加えることで、よりおいしく味わえ、高い満足感が得られることを参加者に体感して頂いた。


次に、日本のフレンチ界を牽引するエディションコウジシモムラ(東京 六本木)の下村浩司シェフを講師として迎え、調理デモンストレーションと試食を取り混ぜた ライブ感あふれる講演が行われた。下村シェフのフレンチはアーティスティックな表現と共に、その調理方法や素材、味の組み立てに非常にロジカルな考え方が導入されている。 調理科学的なテクニックの駆使と、うま味の活用により、彼のディッシュからは従来のフレンチにない軽さとヘルシーさを感じることが出来る。

まずは、参加者全員が下村シェフのスペシャリテである"うま味を閉じ込めた牡蠣の冷製 海水と柑橘のジュレ 岩海苔風味"を試食し、 牡蠣の持つ豊かなうま味とジュレの塩味と酸味、素材のテクスチャーの違いが醸し出すハーモニーを味わった。人間のおいしさを感じる感性は様々な 要因から成り立つこと、中でも味覚は重要な要因であることを体感することが狙いである。この一皿には感嘆の声が漏れた。

さらに、調理科学やうま味の活用の事例として、"カダイフを纏った軽やかなマトダイのフリット"の調理デモンストレーションと、 "セップ茸とアーティーチョークのヴルーテ"の試食が行われた。 マトダイのフリットは、カダイフというトルコの菓子に使われる極めて水分含量の少ない細い麺を衣にすることで、吸油率を低く抑え、 低カロリーを実現している。そして仕上げのソースには手長エビのだしとブロッコリーのピュレが使われており、魚介と野菜からのうま味 たっぷりの一品に仕上がっている。一方、ヴルーテは生クリームの使用量を減らすかわりに、野菜のピュレを利用して濃度をつけ、 だしの添加量を増やすことにより、従来のヴルーテの約3分の1のカロリーを実現すると同時に、これまでにないおいしさが感じられる。

最後に、世界の料理界に広がりつつあるうま味への理解と各国での活用の事例が紹介され、講演は終了した。 全体を通じ、Chulalongkorn大学の准教授 スウィモン博士に通訳をご担当いただいたが、博士の食に対する豊かな見識により、 非常にわかりやすく丁寧な解説となったことを特に強調したい。

 終了後のランチタイムでは、スコータイホテル自慢のブッフェ料理と共に、下村シェフによるマトダイのフリットが提供され、 シェフを囲んでの活発な意見交換、質疑の場となった。参加者からは「うま味という言葉は良く聞いていたが、具体的な事例と活用術の紹介により、 初めてうま味という味の本質が理解できた。今後、自身の料理にも取り入れたい。」等のコメントを多数頂戴した。今後のタイ料理界でうま味がホットな話題となることを期待したい。

Imm Eugene
Imm Eugene
下村浩司シェフ
下村浩司シェフ
試食風景
試食風景
牡蠣
牡蠣