Umami 101-Basics and Advanced at IRGSNY レポート
2012.05.24
来場者約18000人の米国東海岸最大級の国際レストランフードサービスショーが2012年3月4日~5日ニューヨーク、ジャビッツセンターにて開催されました。
うま味インフォメーションセンターは、日本料理の神髄であるだしとうま味をお伝えすることを目的として、同ショーに設置されたJapan PavilionにてUmami101-Basics and Advancedと題したワークショップを実施いたしました。 満席となった会場では、多くの料理関係者が髙橋義弘氏(京都瓢亭)と飯盛一貴氏(Blue Ribbon Sushi Bar & Grill, New York City)によるだしやうま味を生かした料理を熱心に学ぶ姿が見られました。
Umami 101-Basics 1日目のUmami 101-Basicsプログラムは、当センター学術担当の吉田真太郎氏によるうま味の基本情報、健康価値など、科学的な視点を含んだ講演で始まりました。
次に、400年以上の歴史を持ち、ミシュラン三ツ星に輝く京都の老舗懐石料亭瓢亭の15代目若主人髙橋義弘氏が、自らの体験に基づいてうま味を語り、だしと調理デモンストレーションを行いました。
だしの引き方の実演では、昆布だしと2種類の一番だし(昆布と鰹節・昆布と鮪節)の3種のだしを引き、参加者が興味深そうに試飲する様子が見られました。髙橋氏は、なぜ一番だしに鰹節ではなく鮪節を使うか、またどのような料理にそれを合わせるか、などの中身の濃い説明のあと、ハマグリ真薯、よもぎ麩、針人参のすまし椀の調理デモンストレーションを行いました。
髙橋氏はこのすまし椀を、椀だねを共通にし、だしを昆布だしベースと一番だしベースの2種類のだしで作りました。両方を飲み比べた聴講者のほとんどは一番だしベースのすまし椀を好みました。2種類のレシピの塩分量は同じであるにもかかわらず、昆布のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸の掛け合わせ、相乗効果により、塩分を抑えても満足感のあるレシピができるということを実感した様子でした。
翌日のUmami101-AdvancedではNew YorkのBlue Ribbon Sushi Bar & Grill総料理長飯盛一貴氏がうま味を生かしたレシピ作り、またうま味を使って料理全体の味をうまく調和させるテクニックを使いこなすことがいかに大事かを、自らの経験を織り込みながら語りました。実演の一品目は生鮭の昆布締めで、昆布のうま味が鮭をおいしくするテクニックを披露。2品目として、昆布パウダー入りのドレッシングと昆布パウダーなしのドレッシング2種類でサラダを作り、会場に配りました。
参加者は昆布入りドレッシングを使ったサラダが、もう一方のサラダに比べて、塩分量は控え目でありながら満足度の高い味付けとなっていることに気づき、昆布のうま味を加えることで塩分量を抑えられることに驚いた様子でした。減塩は私たちの食生活の大きな課題の一つですが、うま味を使って減塩ができ、おいしい料理ができることを実感した講演でした。
髙橋義弘氏は一番だしについての最新の情報、つまり、材料による数種類の一番だしがあること、またその相乗効果について語り、飯盛一貴氏は昆布が大変広い用途に使えること、そしてアメリカ料理にも使える材料であることを伝えました。実際に、質疑応答では、ステーキやハンバーガーに昆布を使えるかと質問した方もおられました。
うま味インフォメーションセンターは、2日間のプログラムが参加者にとって日本料理の秘密の一つに触れる機会となったことと確信しております。