うま味インフォメーションセンター

活動報告

川崎市民アカデミーでのうま味講義

2012.12.02

日  時 (第1回)平成24年10月12日(金)10:30~12:00
(第2回)平成24年10月23日(火)13:30~15:00
場 所 川崎市生涯学習プラザ
参加者 (第1回)64名、(第2回)78名
講演者 NPO法人うま味インフォメーションセンター 理事長 栗原 堅三(北海道大学名誉教授、青森大学特任教授)
報告者 NPO法人うま味インフォメーションセンター 渡辺 章

去る10月12日(金)と23日(火)の2回にわたり、公益財団法人川崎市生涯学習財団が運営するかわさき市民アカデミーにて、当センター理事長 栗原堅三が「世界に広がるうま味の魅力」というテーマで講義を行いました。
はじめに、味の種類と基本味、五感、食べ物と記憶など、食べ物のおいしさの要因について解説し、昆布のうま味はグルタミン酸、かつお節のうま味はイノシン酸、椎茸のうま味はグアニル酸で、これらうま味物質の発見は全て日本人であるといううま味発見の歴史と、それらうま味物質を多く含む食品や母乳にもたくさんのグルタミン酸が含まれていることなどについて話しました。
そして、味の決め手はアミノ酸であること、またグルタミン酸とイノシン酸、あるいはグルタミン酸とグアニル酸によるうま味の相乗作用について説明いたしました。
現在では、欧米の科学者やシェフたちもうま味に高い関心を示していますが、うま味が基本味の一つであることを、これまで欧米ではなかなか認識してもらえませんでした。

漸く1997年に開催されたうま味シンポジウムにおいて、うま味は第5番目の基本味であることを世界の科学者の間で確認いたしました。また、うま味調味料(MSG)の安全性に対する誤った認識に対しても、1987年に国連の国際食糧農業機関、世界保健機関で、1990年にEUの食品化学委員会で安全性が再確認されています。
これらは、栗原理事長等が中心となり1982年に設立したうま味研究会などの活動によるものですが、その経緯についてご自身の経験を基にお話されました。
今では、うま味に対する理解も深まり、うま味を活かした日本食は、栄養バランスが良く健康的な食事として、世界各国で空前のブームになっている様子を紹介しました。

最後に、ご自身の北海道大学での研究事例から、サケの母川回帰はアミノ酸の組み合わせを嗅覚器で感知し、その記憶をたどって戻ってくると解説され、神秘的なサケの行動は受講者の方々の興味を引きました。
質疑応答では、うま味調味料(MSG)は化学合成で作っているのですかという質問がありました。 サトウキビなどを原料として、味噌や醤油、日本酒などと同じように発酵法で作っていますとお答えし理解していただきましたが、まだまだこのような誤解があるようです。

うま味とうま味調味料に対して正しく理解されるよう、いろいろな機会を通して普及活動を行ってまいります。

講演中の栗原堅三理事長
講演中の栗原堅三理事長
会場の様子
会場の様子