うま味インフォメーションセンター

活動報告

デンマークの海藻博士 オール・モーリットセン氏対応

2013.07.03

日  時 2013年3月11日
場 所 株式会社かつお技術研究所(焼津) / エディシオン・コウジ・シモムラ(六本木)
参加者 オーレ・G・モウリットセン博士(南デンマーク大学生物物理学教授、ノルディック・フード・ラボ アドバイザー)
対応者 富松 徹氏(株式会社かつお技術研究所 代表取締役社長) / 下村浩司氏(エディション・コウジ・シモムラ オーナーシェフ) / 川崎寛也博士(味の素株式会社イノベーション研究所)
コーディネーター 二宮くみ子(うま味インフォメーションセンター理事) / アナ・サン・ガブリエル(うま味インフォメーションセンター 学術担当)
報告者 栗脇美緒(うま味インフォメーションセンター 事務局)

雄大な自然に恵まれた北欧ノルディック諸国でも、近年UMAMIが注目を集めています。名だたるシェフ達が自国の食材のうま味を活かした料理を創りだす一方で、デンマークでは国の行事"味覚の日"のテーマをUMAMIとし、全国の子供たちがうま味を体験しました。南デンマーク大学、生物物理学教授のオーレ・G・モウリットセン博士は身近な事象を、科学的な視点からわかりやすく説明し、科学への興味を促したいと、専門分野にこだわらない幅広い研究活動を行っています。寿司・うま味・海草についての著書を次々と出版する傍ら、デンマークのシェフ達が立ち上げた味覚の基礎研究所、ノルディック・フード・ラボのアドバイザーとして、料理人と科学者をつなぐ活動をしてこられました。うま味インフォメーションセンターは数年前に昆布のうま味について問い合わせを受けて以来、様々な情報交流を続けてまいりました。3月の来日時の鰹節製造工程見学とフランス料理シェフ・日本人科学者との鼎談の様子をご報告いたします。

2013年3月に来日された博士から鰹節の製造工程見学の希望があり、焼津にご案内いたしました。株式会社かつお技術研究所、富松社長のご協力をいただき、焼津港で巨大な冷凍マグロが水揚げされる様子を見たあと、研究所で製造工程について富松社長のご講義に続き、隣接する柳屋本店 鰹節工場で煮熟、成型、焙乾の様子をつぶさに見学させていただきました。焙乾工程では実際に焙乾庫に身を置き、煙に燻されながら伝統的な製造現場を体感されました。寿司の本を出すなど日本料理への関心も高い博士は、終始大変興味深げに見学されました。

焼津を後にして東京に戻った博士は、料理専門誌の企画した"科学に明るい料理人"下村浩司シェフと"料理に明るい科学者"川崎寛也博士との鼎談に参加され、博士の研究テーマである海藻を軸に料理と科学をテーマにした会話が弾みました。下村シェフがオリジナルの「海水で軽く火を通した牡蠣の冷製 海水と柑橘のジュレ 岩海苔風味」を3人が賞味する傍ら、ノルディック・フード・ラボのアドバイザーとして活躍される博士は、日本で昆布のうま味に興味を持ったデンマークのレストラン「ノマ」オーナーシェフ、レネ・レゼッピとともにデンマークの海藻ダルスにうま味があること、それを牛乳に浸して、アイスクリームを作ってみたことなどを披露。味の素㈱に勤務する傍ら、社外の日本料理ラボや様々なジャンルの研究会に参加している川崎寛也博士の解説で海藻のうま味の話も広がり、すっかり意気投合した3人のお話が続きました。

うま味インフォメーションセンターでは、料理と科学の二つの視点から、うま味の持つ機能や活用についての研究を進め、豊かで健康な食生活に貢献してまいります。

Professor Mouritsen
Professor Mouritsen
著書:UMAMI
著書:UMAMI
著書:SEAWEEDS
著書:SEAWEEDS
焼津港にて
焼津港にて
富松社長プレゼンテーション
富松社長プレゼンテーション
鼎談風景(左から下村シェフ、モウリットセン博士、川崎寛也博士)
鼎談風景(左から下村シェフ、モウリットセン博士、川崎寛也博士)
下村シェフのオリジナルメニュー
下村シェフのオリジナルメニュー
海草(フノリ)
海草(フノリ)