うま味インフォメーションセンター

活動報告

横浜国立大学でのうま味講義 「うま味を知る-世界が注目する味覚-」

2013.07.29

日  時 平成25年6月3日(月)10:30~12:00
場 所 横浜国立大学(神奈川県 横浜市)
参加者 学生73名+大学院生・教員4名
講 師 NPO法人うま味インフォメーションセンター 理事 二宮 くみ子氏
報告者 NPO法人うま味インフォメーションセンター 室谷 純子

横浜国立大学教養教育科目(自然科学系)「おいしさの科学」のゲストスピーカーとして、当センター二宮理事が「うま味を知る-世界が注目する味覚-」をテーマに講義を行いました。
「おいしさの科学」は、教育人間科学部、理工学部、経営学部、経済学部など様々な専攻分野の学生が履修しており、主に食べ物の「味」や「香り・風味」、「食感」等の特性と「おいしさ」の関わりについて科学的な視点から多角的に学んでいるそうです。当日は73名の学生が出席されました。
これまで当センターが行ってきたうま味講義は、プロのシェフ・料理人、栄養士、調理・味覚の研究者等、食に関わる方々が主な受講者でしたが、今回は教養課程の学生ということで、うま味を体感し、自分の言葉でうま味が表現できるようになるよう講義を進めました。
初めに、日本語のうまみには二つの意味があること、つまり旨み(旨味)は感覚的なおいしさの程度を表す言葉、うま味は科学的視点からみた、ある特定の物質の味質を表す言葉であることを説明しました。そしてうま味を体感するため、いつもは何気なく食べてしまうプチトマトを、30回ゆっくり味わいながら噛んで食べてもらいました。食べ終わってどのような味だったかと二宮理事が感想を問い、もう口の中にトマトは残っていませんが、何か舌の上にボワーンという感覚が残っていませんか、そして唾液がまだ出ていませんかと尋ねたところ、全員がうなずきました。「これがうま味です。このようにうま味はそれ自体は微妙で分かりにくく、初めは教えてもらわないと気が付かない味です。また、うま味は唾液の分泌を促す機能を持っています。」と説明し、全員が納得の表情でした。
次に、代表的なうま味物質であるグルタミン酸塩、イノシン酸塩、グアニル酸塩の解説とその発見の歴史、また、どのような食品にそれらのうま味物質が含まれるかについて説明しました。
うま味がどのような味なのか、うま味物質はどのような食品に含まれているかの講義に続いて、うま味の特長的な機能である相乗効果、味を調和する効果、減塩効果についての体験学習を行いました。
相乗効果は昆布だしとかつおだし、味の調和効果と減塩効果は、食塩0.3%を添加した減塩タイプの野菜ブイヨンとその野菜ブイヨンにグルタミン酸ナトリウム0.1%を添加したものをそれぞれ試飲して体感してもらいました。
最後に、海外でも日本食がおいしくヘルシーであると注目されており、日本食の特長の一つであるうま味についても世界の料理人が関心を寄せていて、それぞれの国の様々な食材を使ってうま味を引き出す研究が進んでいる事例などを紹介し、うま味が世界から注目されている味覚であることを解説しました。そして、今日皆さんはうま味がどのような味であるか理解できたと思うので、毎日の食事の中で是非うま味を感じてみてくださいという二宮理事の問いかけに、全員が納得の表情で頷かれました。

トマトの試食によるうま味体験
トマトの試食によるうま味体験
トマトの試食後(唾液分泌の確認)
トマトの試食後(唾液分泌の確認)
昆布だしとかつおだしによるうま味の相乗効果体験
昆布だしとかつおだしによるうま味の相乗効果体験
会場の様子1
会場の様子1
会場の様子2(中央 二宮くみ子氏)
会場の様子2(中央 二宮くみ子氏)