うま味インフォメーションセンター

活動報告

【開催報告】The Mastercooks of Belgiumへのうま味レクチャー

2013.10.21

日  時 平成25年10月7日(月)14時~17時
場 所 株式会社味の素コミュニケーションズ カリナリー
参加者 ベルギーシェフ6名および食品業界関係者2名
Mr. Frank Fol - The vegetables Chef / Culinary President The Mastercooks of Belgium Mr. Felix Alen - Hof te Rhode / Mastercook Mr. Claude Pohlig - Cuisinier Potager / Mastercook Mr. Jacques Colemont - Figaro / Mastercook Mr. Frederic Caerdinael - Sanglier des Ardennes / Mastercook Mr. Philippe Hendrick - Restauration Nouvelle / Mastercook
登壇者 エディシオンコージシモムラ オーナーシェフ 下村 浩司氏 / 味の素コミュニケーションズ シェフ 山川 武司氏 / NPO法人うま味インフォメーションセンター理事 二宮 くみ子
報告者 NPO法人うま味インフォメーションセンター事務局 栗脇 美緒

今、世界各国で栄養バランスが良く、健康的な食として、日本食が人気を集めています。日本食の特長の一つがうま味です。世界のトップシェフ達は、素材の味を引き出し、その魅力を活かすうま味の機能に高い関心を示し、うま味を活かす日本料理の調理法について学ぼうとしています。 この様な機会を捉え、うま味インフォメーションセンターは、食や調理に携わる方々を主な対象に、うま味を正確に理解していただくための活動を国内外で実施しております。 今回来日されるベルギーのThe Mastercooks of Belgiumの方々は、東京、京都、静岡を訪問し、日本の食材、日本料理の調理法について学ばれますが、うま味インフォメーションセンターでは、「だしとうま味」、「うま味の活用」をテーマに、講義とデモンストレーションでうま味レクチャーを実施し、うま味について、調理・科学の両面から理解を深めていただきたいと考えました。また、レクチャーの後には、従来の質疑応答に加え、うま味の魅力やうま味食材についてのベルギーシェフと日本人シェフ、料理人と科学者が自らの立場からの意見を交換する場を設定いたしました。

当日、会場の味の素コミュニケーションズ カリナリーキッチンにて、ベルギーシェフ6名、同じくベルギー食品業界関係者2名およびツアーコーディネーターに向けて、まず弊センター二宮理事より、5つの基本味の一つであるうま味について、プチトマト・チーズを使ったうま味体験、うま味の基本情報、うま味物質を多く含む食物、だし食材の提示、うま味を感じる体の仕組み、うま味の相乗作用などの種々の機能とそれを体験するための野菜ブイヨン・野菜ブイヨン(+MSG)の飲み比べなど科学的な視点とテイスティングを交えながら、レクチャーを行いました。

続いて、キッチンにおいて、味の素コミュニケーションズ カリナリーの山川武司シェフが、日本料理の基本となる昆布だし、一番だし、そして一番だしをベースにした吸い地の作り方をデモンストレーションし、ベルギーシェフ達は、間近でその様子を観察、また出来上がったそれぞれのだしや吸い地をたっぷり味わいました。

その後、「エディション・コウジシモムラ」のオーナーシェフ、下村浩司氏が登壇、今回のTHE MASTERCOOKS OF BELGIUMの日本訪問の主テーマが日本の野菜・果物で、その味の特長や調理法であることから、最初にアスパラガスとカリフラワーを使い、アスパラガスはフリーズドライによってうま味を凝縮させたものと、生とのうま味の違いを、茹でたカリフラワーは、白醤油入り野菜ブイヨンで茹で、うま味加えたものとお湯でゆでただけのもの比較試食し、うま味の使い方、活かし方を解説し、自身の料理哲学、うま味との出会いから料理への取り入れ方についてお話されました。さらに、フランスでの修業時代、"LA COTE D'OR"で師匠ベルナール・ロワゾ―氏が油分を減らし、塩味で満足感を補ったのに対し、下村氏は塩分の代わりにうま味の活用で、満足度を落とさず、脂肪分、そして塩分も落としたことなどを、わかりやすく語られました。そしてその例として、うま味食材を使い、バターや生クリームを減らしても満足感が得られるレシピとしてセップ茸のブルテのデミタスカップが配られ、シェフ達は、下村氏の手法を体感し、納得している様子がうかがえました。また、"日本料理のアイディアを活用しているが、味わいは和食ではない"と、自らの料理を評し、特別に下ごしらえした昆布でイベリコ豚を締めたものを紹介し、その肉をさっと焼いたものを試食として配りました。ベルギーのシェフ達は、その手法に見入り、また昆布のうま味が加わり、更においしくなったソテーを賞味しました。下村シェフはハス芋、加賀れんこん、とんぶり、ジュンサイ、まき菱、四角豆の珍しい野菜を紹介、そしてそれを使ったお料理のサンプルも試食として配られました。
後半は、再びシェフ達がキッチン内に移動し、今回のレクチャーのために、シェフが考案した、イカ墨のリゾットと三種の貝のうま味を活かした一皿の紹介等、大変盛りだくさんな講演に、ベルギーのシェフ達は、熱心にメモを取り、写真を撮り、活発な質問をし、シェフも流暢なフランス語で応答されました。

下村シェフの講演の余韻を残したまま、ベルギーシェフと日本人シェフ、そして二宮くみ子理事と味の素㈱川崎寛也博士が一つのテーブルを囲み、ベルギーシェフから、本レクチャーやうま味についてのコメントが述べられ、下村シェフが料理人の立場から、また川崎博士が研究者の立場から意見を述べる対話の時間を持ち、うま味レクチャー FOR THE MASTERCOOKS OF BELGIUMは終了いたしました。

うま味インフォメーションセンターは今回のレクチャーにより、ベルギーを始めとして、欧州各国でさらにうま味が普及していくことを期待し、これからもこのような活動を続けてまいります。

二宮理事レクチャー
二宮理事レクチャー
山川武司シェフデモンストレーション
山川武司シェフデモンストレーション
下村浩司シェフデモンストレーション
下村浩司シェフデモンストレーション
キッチンでの様子
キッチンでの様子
ディスカッション風景
ディスカッション風景
集合写真
集合写真
下村シェフ提示食材
下村シェフ提示食材
会場ディスプレー
会場ディスプレー