The Culinary Institute of America Hyde Park本校 うま味レクチャー
2014.04.03
日 時 | : | 2014年3月14日(金)10:30~17:00 |
場 所 | : | The Culinary Institute of America, NY, Hyde Park本校 / Marriott Pavilion Theatre (10:30~12:30) / Asian Cuisine Class Room(14:00~17:00) |
参加者 | : | 160名 |
共 催 | : | NPO法人うま味インフォメーションセンター / The Culinary Institute of America Hyde Park本校 |
協 力 | : | NPO法人日本料理アカデミー |
講演者 | : | 京都・菊乃井 主人 村田 吉弘氏 / The Fat Duck 前料理長 Kyle Connaughton氏 / うま味インフォメーションセンター理事 二宮 くみ子 |
報告者 | : | うま味インフォメーションセンター 吉田 真太郎 |
昨年12月、「和食:日本の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、日本料理の重要な要素であるうま味は、今や世界の共通語UMAMIとなり、世界中の著名なシェフの関心を集めるだけではなく、海外の料理学校においてもうま味の教育を行うことの必要性を感じはじめています。このような状況のもと、昨年に引き続き、うま味インフォメーションセンターは、世界最高レベルのプロフェッショナルな料理教養と技術の教育を誇る料理大学・米国The Culinary Institute of America Hyde Park本校にてうま味レクチャーを実施しました。
日本料理アカデミー理事長として無形文化遺産登録にご尽力された京都「菊乃井」三代目主人の村田吉弘氏、元The Fat Duck, London料理長のKyle Connaughton氏、弊センター理事二宮くみ子(農学博士)が講師を務めました。
弊センター二宮くみ子理事は、うま味物質、うま味の豊富な食材、うま味の持つ特徴や機能など、この後引き続いて行われる講義、デモンストレーションの理解につながる重要なうま味の基本情報を、科学的な観点から紹介しました。さらに、弊センターのホームページ「うま味を体験する」に掲載している、プチトマトや野菜スープを使ったうま味体験を行い、参加者は舌全体に広がるデリケートな味であるうま味を体感し理解を深めました。
村田吉弘氏は「日本料理のだしとうま味」についての講義とデモを行い、欧米料理とは異なり、うま味を中心に構成されている日本料理が低脂肪、低カロリーであること、うま味物質であるグルタミン酸とイノシン酸によるうま味の相乗効果について解説し、相乗効果の原理を理解すれば、昆布と鰹節がなくてもドライトマトやドライモリーユ、脂の少ない鶏胸肉などの食材を使ってNew Style Dashiができることを紹介しました。参加者は、昆布だし、カツオ節、一番だし、New Style Dashiの試飲によって日本料理の要である'だし'の特徴を理解するとともに、身近な食材からも'だし'がひけることを学びました。
Connaughton氏による'アメリカにおけるうま味の歴史'の講義では2000年初頭に舌にうま味の受容体があることが発見されたことがきっかけで、うま味が第5の基本味であるとの認識が進んだこと、その当時のアメリカのシェフ達は日本食材を利用して料理にうま味を加えていたこと、そして現在では著名なシェフ達がヒヨコマメから味噌を作ったり、豚肉を使って鰹節ならぬ豚節を作るなど、ユニークなうま味食材を創り出していることが紹介されました。デモでは村田氏と同様にドライトマト、ドライモリーユ、鶏肉を使い、New Style Dashiとは異なる調理方法で作ったクリアな'だし'Umami Brothを使ったパスタ料理、トマトを長時間煮詰めてうま味を濃縮したうま味ソースを添えた鰯のソテーを紹介。Connaughton氏は講義とデモを通じてうま味の基礎的知識の習得によって、特別な日本食材を使わなくてもオリジナリティーのあるうま味レシピが創り出せること、うま味がユニバーサルな味であることを生徒たちに伝えました。
最後に村田氏のNew Style Dashiを使ったお吸い物と野菜の炊き合わせ、Connaughton氏のUmami Brothをソースに使ったパスタ料理と鰯のうま味ソース添えが入ったUmami Tasting Bento Boxが全員に配られ、参加者はうま味料理を慎重に味わいながら料理におけるうま味の重要性、うま味食材の使い方を実体験しました。
午後のレクチャーはAsian Cuisine Class Room(調理実習室)で午前中と同様の講義とデモを実施しました。少人数で学生と講師の距離も近く3時間にわたる密度の濃い授業になりました。これも、講師としてご協力いただいた村田吉弘氏、Kyle Connaughton氏のおかげと感謝しております。
うま味インフォメーションセンターでは、国内、海外の調理師学校で料理を学ぶ方々に、うま味について正しく理解していただくよう、このようなうま味レクチャーの活動を続けてまいります。今後とも何卒ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。