うま味インフォメーションセンター

活動報告

【米国栄養学会サテライトシンポジウム報告】 グルタミン酸:その味と機能

2014.06.29

近年、シェフや料理研究家の間で、うま味成分の一つであるグルタミン酸塩が食品の味に大きく寄与するという認識が高まっておりますが、具体的にどのように機能するか、また、代謝作用、分子レベルでの機能について、栄養士や食事療法士の方々の十分な理解を得ているとは言えず、理解していただく様々な機会が必要と考えております。
実験生物学会(Experimental Biology)は、毎年、米国の6学会:米国解剖学会(AAA)、米国生理学会(APS)、米国生理・分子化学学会(ASMBM)、米国実験病理学会(ASIP)、米国栄養学会(ASN)、米国薬理・実験治療学会(ASPET)に属する研究者が一堂に会する米国最大の学会の一つです。
本学会において、NPO法人うま味インフォメーションセンター(UIC)はASN(米国栄養学会)のご賛同いただき、うま味と遊離グルタミン酸の機能に関する最新の学術情報について、各分野の研究者で討議するサテライトシンポジウムを主催いたしました。
食べ物の味は、私たちの食生活で栄養・健康価値と同じく大切な要素であるにも拘わらず、味覚と栄養の研究者同士の交流機会はほとんどありませんでした。そこで、UICは、グルタミン酸のうま味とその脳に対する生理的信号の意味を関連付け、第一線の研究者の方々に、消化管にもグルタミン酸受容体が存在すること、母乳にグルタミン酸が豊富に含まれること、及び腸上皮細胞の主要エネルギー源としてのグルタミン酸の働き等について、研究成果を発表していただきました。
また、発表に続くレセプションでは、UICがうま味を体感していただくために、長年続けているうま味テイスティングの場を設け、代表的なうま味食品であるプチトマト、チェダーチーズ(熟成度の異なるもの2種)、生ハムを参加者全員に配り、食品がもつうま味を体感していただきました。また、うま味の機能を体感していただくために、The Culinary Institute of America講師のKyle Connaughtonシェフの協力により、野菜のみで調理した野菜ブイヨンに塩分を微量加えたものと、それにグルタミン酸ナトリウムを加えたものの二種類の野菜スープの飲み比べを実施しました。二種類のスープを手に、参加者の方々はグルタミン酸ナトリウムを適量加えることで、塩分を控えても全体の味の満足度を維持することができること、つまり、うま味を活用すれば上手に減塩できることを実感されました。また野菜からのうま味に加え、うま味物質であるグルタミン酸ナトリウムを加えることで、最初はバラバラだった野菜の味がバランスのとれた味になることも体感されました。
このテイスティングは、シェフの協力なしには実施が難しく、Experimental Biology (実験生物学会)の歴史上、シェフがこのように重要な役割を果たしたのは今回が初めてとの評価をいただきました。
また、Kyle Connaughtonシェフと同じく、The Culinary Institute of America講師を務めるAli Bouzariシェフも本シンポジウムに参加し、うま味に関する貴重なコメントを述べていただき、参加者との意見交換はさらに活発に行われました。
うま味インフォメーションセンターは、これからも国内外の様々な場で、科学的な視点も含めたうま味の正確で最新の情報をお伝えし、うま味に対する理解を深めていただく活動を行ってまいります。