うま味インフォメーションセンター

活動報告

横浜国立大学でのうま味講義 「うま味を知る-世界が注目する味覚-」

2014.09.29

日 時 平成26年6月2日(月)10:30~12:00
場 所 横浜国立大学(神奈川県 横浜市)
参加者 学生100名+大学院生12名、教員1名 計113名
講 師 横浜国立大学教育人間科学部非常勤講師 大田原 美保氏(NPO法人うま味インフォメーションセンター 賛助会員)
報告者 NPO法人うま味インフォメーションセンター 室谷 純子

横浜国立大学教養教育科目(自然科学系)「おいしさの科学」において講座を担当される大田原美保先生による「うま味を知る-世界が注目する味覚-」の講義が行われました。
昨年、弊センターの二宮くみ子理事が本講座のゲストスピーカーとして講義いたしましたが、本年は、当センターの賛助会員である大田原先生による講義が実現いたしました。「おいしさの科学」は、教育人間科学部、理工学部、経営学部、経済学部など様々な専攻分野の学生が履修しており、主に食べ物の「味」や「香り・風味」、「食感」等の特性と「おいしさ」の関わりについて科学的な視点から多角的に学んでいる大変人気の高い講座とのことです。
うま味を体感し、自分の言葉でうま味が表現できるようになるよう講義を進めていただきました。
初めに、日本語の"うまみ"には二つの意味があること、つまり"旨み(旨味)"は感覚的なおいしさの程度を表す言葉、"うま味"は科学的視点からみた、ある特定の物質の味質を表す言葉であることを説明いただきました。そしてうま味を体感するため、いつもは何気なく食べてしまうプチトマトを、30回ゆっくり味わいながら噛んで食べてもらいました。食べ終わってどのような味だったかと大田原先生が感想を問い、はじめに感じた甘味、酸味はもう残っていませんが、何か舌の上にボワーンという感覚が残っていませんか、そして唾液がまだ出ていませんかと尋ねたところ、全員がうなずきました。「これがうま味です。このようにうま味はそれ自体は微妙で分かりにくく、初めは教えてもらわないと気が付かない味です。」とうま味の3つの特徴として① 持続性がある ② 舌全体に広がる ③ 唾液の分泌を促すこと説明し、全員が納得の表情でした。
次に、代表的なうま味物質であるグルタミン酸塩、イノシン酸塩、グアニル酸塩の解説とその発見の歴史、また、どのような食品にそれらのうま味物質が含まれるかについて説明がありました。うま味がどのような味なのか、うま味物質はどのような食品に含まれているかの講義に続いて、うま味の3つの機能である① 相乗効果 ② 味の調和 ③ 減塩効果についての体験学習を行いました。
相乗効果は昆布だしとかつおだし、味の調和効果と減塩効果は、食塩0.3%を添加した減塩タイプの野菜ブイヨンとその野菜ブイヨンにうま味成分のグルタミン酸ナトリウムを0.1%添加したものを用意し、それぞれ中身を知らせずに試飲してアンケートに回答していただきました。その結果、グルタミン酸ナトリウムの入っている野菜ブイヨンの方が96%の人が「味全体を強い」、66%の人が「塩味が強い」、98%の人が「おいしい」と回答しました。この野菜ブイヨンにグルタミン酸ナトリウムを加えたもの、加えていないものを比較することでうま味の効果である味を調和させ、味全体を強く感じることで減塩につながることを体験いただきました。
最後に、「UMAMI」は国際語として多くの辞書に載っていることが紹介され、また「和食」が2013年12月ユネスコ無形文化遺産に登録され、その際に「和食」の定義のひとつに『バランスがよく、健康的な食生活をおくるのに「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っている』ことが掲げられていること、一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルはうま味が豊富であり、理想的な栄養バランスであると言われていること、そして、うま味がどのような味であるか理解できたと思うので、毎日の食事の中で是非うま味を感じてみてください、というお話しで講義は終了しました。
NPO法人うま味インフォメーションセンターでは、今後も様々な機会を通じて、うま味の正確で最新の情報を提供してまいります。

だしのうま味を確認している様子
だしのうま味を確認している様子
講義中の大田原先生
講義中の大田原先生