うま味インフォメーションセンター

活動報告

韓国 世宗大学でうま味ウェビナーを実施

2021.04.06

古くからの隣国である日本と韓国。お互いに食文化を伝えあい、それぞれの気候風土や食習慣にあった形に変化発展させてきた両国には、味噌や醤油に似た調味料を有するなど、類似の食文化が見られます。
日韓の食文化は、科学的にはどのような共通点・相違点があるのでしょうか。

うま味インフォメーションセンター(UIC)は2021年4月6日、韓国世宗大学の学生に向けて「和食文化とうま味―だし・うま味再発見」と題したオンライン講義を行いました。講義に参加したのは、同大学で外食経営学を学ぶ学生76人です。
*主催:韓国味の素(株)、世宗大学 共催:うま味インフォメーションセンター

UICの二宮くみ子博士による1時間半の講義は、韓国味の素(株)のKim Myungjaeさんの通訳で行われました。

二宮博士は、まず「おいしさ」を決める要素と「うま味」の関係、食文化と関係が深い両国の気候風土の特徴から講義を開始。両国には森林が多いという共通点があること、日韓とも主食は米であり、穀醤すなわち穀物から作る発酵食品の文化圏にあることを説明しました。

一方で、味噌とテンジャン、醤油とカンジャンは、似てはいるものの発酵に使われる菌の種類が異なることが説明されました。共通点が多い両国の食文化ですが、韓国から伝わったものは日本の気候風土にあったものに、そして、日本から伝わったものは韓国の気候風土や食習慣にあった使い方がされるように変化してきました。二宮博士はそのことを分かりやすく解説しました。

続いて二宮博士は、日本料理がうま味に富む理由を科学的な見地から解説。両国のだしに含まれるアミノ酸成分に大きな違いがあることを述べました。韓国料理のだしは肉を主材料、野菜を副材料にじっくり煮込んで作るため、うま味物質だけでなくその他多くの物質が抽出されます。一方、日本料理は昆布とかつお節を主材料に短時間で作るため、だしの味はうま味物質が中心です。

そして和食の特徴であるうま味物質の性質、うま味発見の歴史が説明されました。

ウェビナーはソウルと東京を中継して行われました

講義には、受講した学生、学校職員から大きな関心が寄せられました。
講義後のアンケートでは9割以上が高い評価を上げるなど、日本の食文化への関心の高さがうかがわれました。学生以外の参加者からも「両国が一衣帯水の間柄であることがよくわかった。」、「今回だけで終わるのではなく、定期的に行いたい」という声が上がっています。本ウェビナー開催にあたり、韓国味の素(株)の方々には、事前の準備、当日の運営をサポートなど大変お世話になりました。 

UICは今後も世宗大学、韓国味の素(株)と協働することで、正しいうま味の情報発信を継続していく方向で検討を開始しています。