うま味インフォメーションセンター

活動報告

「UMAMI and Plant Based Foods webinar」を今年も開催しました

2023.01.09

うま味インフォメーションセンター(UIC)は、1月9日(米国時間)に米国のシェフを対象とした日本の精進料理を紹介するウェビナー「UMAMI and Plant Based Foods」を開催しました。
近年、欧米ではプラントベースフードがSDG’sの観点から注目されていますが、精進料理は700年の歴史を持つPlant Based Foodです。精進料理ではたんぱく質源として、大豆を原料とした豆腐、油揚げ、湯葉などが使われてきました。精進料理の基本としてうま味を上手に活用することが古くから伝えられてきています。

昨年に引き続き、精進料理をテーマとしたウェビナーでは、自ら料理僧と名乗る湯島山緑泉寺の住職、青江覚峰(かくほう)さんを講師としてお招きしました。当日はアメリカを中心に約90人のシェフや食品業界関係者が視聴しました。

ウェビナー前半では二宮博士が、精進料理の歴史や使用できる食材のルール、精進料理におけるうま味の活用について解説しました。二宮博士は “畑の肉”と言われている大豆の加工品が精進料理に多く使用されていること、大豆に含まれているタンパク質は他の豆類よりも多いことや、タンパク質含量は肉類とほぼ同等であることなど、大豆の栄養価値を紹介しました。また精進料理に欠かせない麹を使った発酵調味料である醤油、味噌、みりん等はうま味物質であるグルタミン酸が豊富に含まれており、おいしさに深く関わっていることを説明。乾物を頻繁に用いる精進だしに含まれている、そのうま味物質についても解説しました。さらに、うま味がベースとなる精進料理では塩分控えめでも料理の満足感を向上できることなど、健康面でも海外のシェフ達のヒントとなる情報も提供しました。

青江住職は、仏教の教えに基づく精進料理の精神や技法を紹介しつつ、クッキングデモンストレーションを実施。
「大豆だし」の取り方に始まり、大豆だしに味噌、豆腐、油揚げを組み合わせた全ての食材が大豆由来の「味噌汁」。だしを取った後の大豆を使って作れる「大豆の甘辛」。本来ならば捨ててしまいがちな野菜の皮や硬い茎などを再利用して作った「手作り厚揚げのあんかけ」。そして、蕪のすりおろし汁を出汁に使った蕪蒸しを紹介しました。
野菜にも命がありそれを尊重すること、廃棄されてしまいがちな野菜の皮や切れ端も素材として使い切る精進料理の基本理念に基づく料理を紹介しました。
さらに「精進料理は和食だけでなく、世界中の料理に応用できます。」と述べ、卵を使わずに豆腐を利用した「精進マヨネーズ」を使ったバーガーを披露しました。

青江住職のレシピはこちらからご覧いただけます。

精進料理は世界中の様々な食の制限(ビーガン、ハラル等)の中で、最も忌避とする食材が多いので、全ての人が安心して食べられる食事として見直されてきていると青江さんは考えています。
精進料理の技と心を余すところなく表現した美しい料理の数々は多くの参加者を魅了しました。アンケートでは76%がExcellent、24%がGoodと大変好評で、「大豆からスープストックが取れるとは思いもよらなかった」「精進料理の歴史や技法を初めて知りました。とても興味深い内容でした。」等のフィードバックが寄せられました。

(左から)二宮くみ子博士、司会を務めたアナ・サンガブリエル博士、青江覚峰住職

ウェビナーはYouTubeうま味インフォメーションセンター公式チャンネルからご視聴いただけます。