うま味インフォメーションセンター

活動報告

新動画登場~うま味物質が料理を美味しくするメカニズムを科学的に考える!

2023.04.18

「うま味調味料で料理はなぜおいしくなるのか?」 
多くの人が実感しながらも、理由がまだ解明されていないこのメカニズムについて、科学的にアプローチする講義動画を作成しました。講演者は、うま味インフォメーションセンター理事長の山本隆博士(畿央大学健康科学部教授)です。

「うま味調味料をほんの少量使うことで、料理の味が格段においしく変わる」
「減塩効果がある」
「物足りない味をおいしくしてくれる」
「素材の味が引き立ち、料理のコクが増す」
これらは、うま味調味料の効果を語るときに、国内外のシェフや管理栄養士の皆さんが度々口にする言葉です。なぜ、うま味調味料を加えると料理がおいしくなるのでしょうか。
この動画ではそのメカニズムについて、これまでの研究知見を振り返ると共に、新たに科学的な仮説を提供しています。

1908年に池田博士が「うま味」を発見してから、その味が第五の基本味として世界的に認められるまでには、大きな契機となった2000年代のうま味受容体の発見に至るまでの長い歴史がありました。その間、グルタミン酸以外のうま味物質発見や、相乗効果に代表される特長、そしてうま味物質の料理に対する機能など、色々な知見が蓄積されてきています。料理のおいしさにはうま味物質は必須ですが、おいしさは単純に「うま味」の付与によって生まれるものではない、と山本博士は語ります。他の基本味にうま味物質のみを添加しても、味の好ましさが増すという訳ではないためです。

「うま味調味料」が効果的に働く上で、大きな役割を担っているのは調理品の「コク味物質」の存在であろうと先生は語っています。調理品の中にうま味物質だけではなく、コク味物質が同時に存在することで、特に風味質が向上するー持続性、パンチ、まろやかさ、こってり感が出て重厚感が増した、料理にいわゆるコクが出たという研究結果を紹介しています。

「調理品の中にコク味物質が存在するとき、うま味物質がコク味物質の作用を増強することにより、うま味やほかの基本味の特徴を強調します。その結果コクが生じます。またコク味物質もうま味物質や他の基本味の特徴を強調します。ですから、食べ物をおいしくするためには、うま味物質とコク味物質のバランスが重要で、そこに香りと食感がともなうとさらに美味しくなる、ということであると考えられます。」
コクに対しては国内外の研究者が注目していますが、いまだ解明されていないことが多く、うま味とコクの関係はこれからの研究がさらに期待される領域です。私たちの健康的で美味しい食生活の為に、さらなる解明が待たれます。

動画はUICホームページの他、公式YouTubeチャンネルでもご視聴いただけます。調理科学や味覚生理学を学ぶ人、シェフや栄養士の皆さんに、ぜひご視聴いただきたく思います。

うま味調味料で料理はなぜおいしくなるのか?畿央大学 教授 山本 隆 (約53分)
YouTube 
https://www.youtube.com/watch?v=lE6EOZ6U47c

UIC Website    
https://www.umamiinfo.jp/movie2/whati-is-umami/umami-seasoinig/