うま味インフォメーションセンター

活動報告

鳥居邦夫博士の追悼講演会が開催されました

2023.11.25

2023年11月25・26日の2日間、岡山大学医学部において、第20回国際シンポジウム「味覚嗅覚の分子神経機構」(主催:日本味と匂学会)が開催されました。シンポジウム初日の25日には、同年春にご逝去されたうま味研究者 鳥居邦夫博士の追悼講演会も行われ、複数の研究者が登壇して博士の偉業を称えました。

鳥居博士は「日本味と匂学会」の名誉会員であり、うま味研究に多大な貢献をされた研究者です。東京大学を卒業後、国内外の研究機関でうま味について研究を続け、うま味物質の有用性をエビデンスベースで世界に広めるとともに、その栄養生理学的価値の向上に努めました。
鳥居氏とうま味インフォメーションセンター(UIC)の関わりも古く、歴代の理事メンバーの多くは鳥居氏の研究仲間でもあります。追悼講演には、UICの山本隆理事長、畝山寿之理事、UIC会員で学術アドバイザーのアナ・サンガブリエル博士の3人が、同学会の招聘を受けて登壇しました。

UIC山本理事長:鳥居博士との出会いから、博士が食行動学全体に与えた研究インパクトを振り返り、うま味研究が生み出した新たな味質、コク味物質についての最新の研究を紹介しました。    
講演タイトル: L-ornithine and GPRC6A may be a novel kokumi substance and a kokumi receptor

畝山理事:うま味の嗜好を脳と舌と消化管の報酬ネットワークから説明しようとした鳥居博士の新学説「消化管グルタミン酸シグナリング」が生まれた経緯を紹介。 
講演タイトル: Gut Umami Sensing Hypothesis:A Short History and Perspectives

サンガブリエル博士:消化管のうま味受容体の発見など、消化管グルタミン酸シグナリング説の分子メカニズム基盤を解説。その後の味覚受容体研究の推移を話し、鳥居博士の卓越した研究眼を称えました。    
講演タイトル: Umami: the long journey of the 5th basic taste

追悼講演が実施された「第20回国際シンポジウム“味覚嗅覚の分子神経機構について”」の公式ウェブサイト
https://www.okayama-u.ac.jp/user/oralphys/ISMNTOP/ISMNTOP.html

鳥居邦夫博士: 東京大学農学部畜産獣医学科卒。著書に「アミノ酸科学の最前線」(シーエムシー出版)、「太る脳、痩せる脳」(日本経済新聞出版社)など。

鳥居博士のご冥福をお祈りいたします。