日本家政学会の年次大会でランチョンセミナーを実施
2025.05.31

2025年5月31日、横浜国立大学で開催された日本家政学会の第77回年次大会において、うま味インフォメーションセンター(UIC)はランチョンセミナー「確認してみませんか?!~うま味とコクの正しい使い方」を実施しました。
私たち日本人にとっては昔から馴染みのある「うま味」そして「コク」。最近は海外でも”Umami“、”Koku“という言葉を目にするようになりましたが、残念ながらその解釈は時に様々です。
今回UICが実施したランチョンセミナーは、家政学会会員の先生や学生の皆様70余名を対象に、個々人での体験と直後の講義をセットにした形で、来場者の記憶に後々まで残るような構成にしました。
最初の10分間で「うま味物質単体の味の確認」と「みそ湯を用いたうま味物質によるコク増強確認」のミニワークショップ、続いてメイン講義「うま味とコクの正しい使い方」に進む流れです。

冒頭10分間のミニワークショップは木戸妥恵理事が担当。参加者には少しの間だけお弁当に箸をつけるのを待っていただき、手元のカップに水を注いで少量のうま味物質(MSG)を振り入れ、基本味である「うま味」単体の淡い味を確認していただきました。
「うま味を単独で味わう機会はあまりないですよね」という木戸理事の言葉に、うなずく方が多く見られました。木戸理事によるうま味の特徴や、基本味についての解説の後、今度はだしの入っていない「みそ湯」にうま味物質を振り入れて味わい、うま味物質でコクが増強される効果を確認しました。


うま味を実感する体験の後、UIC理事長である西村敏英博士によるメイン講義が行われました。初めに西村博士は、“うまみ”という言葉は、日本では「おいしさ」と「基本味のうま味」の同音異義語であり、私たちは実は海外の人々より意味を混同しやすい立場にいることを明確にしました。
そして、うま味物質が食べ物の味わいに及ぼす効果について説明。
食べ物を口にした時に感じる味わいは、舌で刺激を受ける味だけでなく、口腔内から鼻腔に抜ける香り(口中香)と相互作用しています。
この口中香は、うま味物質があると強く感じられることが分かっています。うま味物質は単体では非常に弱い味ですが、食品に添加するとその食品の口中香が強まり、口の中に余韻が長く残ります。うま味物質には食べ物のコクを増強する働きがあるのです。
うま味物質はコク増強物質として、味わいの因子として食べ物のおいしさに影響を与えますが、おいしさは個人の主観によって異なります。「コクがある」はおいしさを感じた時によくか使われる表現ですが、かといってその食べ物は全ての方にとっておいしいというわけではありません。
西村博士はコクの定義*と、コクの3要素「複雑さ(深み)」、「広がり(濃さ)」、「持続性(余韻)」について解説しました。そして、うま味と同じく、食べ物には適したコクの強さがあることを説明し、ハーモナイズもコクの要素になると考えられると語りました。そして、講義の最後にぜひ学会参加者にお願いしたいこととして、「調理条件によって、コクの強さがどのように変わるかを研究していただきたい」と呼びかけました。
*コクの定義:味、香り、食感等の感覚刺激に関して、より多くの刺激が与えられた結果、複雑さ(深み)、口の中での広がり(濃さ)、持続性(余韻)を感じた時に認識できる幻聴(総合感覚)である。
UICは各界のKOLが集う場を通して正しく分かりやすくご理解いただくことで、その先の方々にもうま味やうま味物質の有用性について関心を持っていただけるよう、これからも広報活動をしていきます。