うま味インフォメーションセンター

活動報告

西村理事長による新潟調理師専門学校での特別講義

2025.11.07

10月22日、新潟調理師専門学校にてうま味講義を実施しました。本講義は同校の特別講義として2014年度から継続しており、今年度は初めて西村理事長が「見直そう!食べ物のおいしさを引き出すうま味物質のはたらき」と題して講義しました。新潟調理師専門学校は、食の世界で活躍するプロフェッショナルを毎年多数輩出している伝統校です。今年度は同校で学ぶ約45名の皆さんが参加しました。

キャプション:NPO法人うま味インフォメーションセンター 西村敏英 理事長

講義は「皆さん、食べ物のおいしさはどのような要因で決まるか、考えたことはありますか?」という問いかけから始まりました。私たちは、見た目、香り、味、食感、温度など、さまざまな要素を総合的に感じながら、味わって食べています。「多くの人は口の中で感じる感覚を“味”と表現しますが、今日から皆さんは“味わい”と表現してみてください」と語りかけると、「味わう」ことへの意識が高まり、体験を通じた学びに集中していく様子がうかがえました。

まず、基本味溶液のテイスティングを通じてうま味の味質を理解し、その後ドライトマトをじっくり味わうことで、食材に含まれるうま味物質を感じ取っていただきました。

続いて、うま味物質によるコク※増強効果を、みそ湯を用いた体験を通じて学んでいただきました。各自がみそ湯に適量と思われるうま味物質(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム)を加え、集中して味わいます。「味わいに変化を感じましたか?」という問いかけに、多くの手が挙がり、皆さんがうま味物質の働きをしっかり認識し、理解を深めている様子が見られました。
※コク:味、香り、食感等の感覚刺激に関して、より多くの刺激が与えられた結果、複雑さ(深み)、口の中での広がり(濃さ)、持続性(余韻)を感じた時に、認識できる総合感覚

最後に、うま味物質を調理に活かす例として、西洋の食材を使ってだしを取るシェフの技や、カロリー・塩分を抑えたヘルシーな料理が実現できることが紹介されました。

うま味については、すでに基本味の一つとして授業で学んでいた皆さんですが、うま味物質の効果やコクの概念などを、テイスティングを交えて学んだことで、理解がさらに深まったようです。
講義後のアンケートでは多くのコメントをいただきました。中でも「“うま味”は特定の物質の味質で、“旨み”は感覚的なおいしさの程度だと初めて分かった」「みそ湯にうま味物質を加えると、口に入れた時の味わいの広がりが全然違って驚いた」「来日する外国人の多くがすでに“UMAMI”という言葉を知っている。日本人としてきちんと説明したいと思った」といった声が印象的でした。

和・洋・中すべての料理に欠かせないうま味・うま味物質について、今回の講義と体験で得た実感をこれからの学びに活かし、将来調理師として羽ばたいていかれることを願っています。