うま味インフォメーションセンター

活動報告

大妻女子大学の新4年生へのうま味講義

2024.03.21

2024年3月21日、大妻女子大学 家政学部の8人の学生が大田原美保教授とともにうま味インフォメーションセンター(UIC)を訪れました。皆さんは食物学を学ぶ3年生で、木戸妥恵理事による食物学演習「うま味を知る、うま味を感じる」を受講しました。
本講座は大妻女子大学の正規の授業となります。

講師の木戸理事は、これまでの3年間、栄養学の知識をしっかり身に着けてきた皆さんに合わせて、通常のうま味講義よりさらに詳細かつ実用的な内容の講義を行いました。   
うま味とは何か、どのような特徴があるかという基本内容に加えてお話したことの一つに、UICの公式ウェブサイト(https://www.umamiinfo.jp/)の紹介があります。UICのウェブサイトやYouTubeチャンネルには、食と健康の仕事に携わる人の活動のヒントになる情報がたくさん掲載されています。

UIC木戸妥恵(きどやすえ)理事

例えば、食材にどのくらいうま味成分が含まれるかを調べられる「うま味データベース」。https://www.umamiinfo.jp/umamidb/
全国の郷土料理をうま味の観点から紹介した「日本の郷土料理とうま味」など、役立つコンテンツが満載です。https://www.umamiinfo.jp/japaneseumami/localcuisine/
今回の講義では、うま味成分の基本情報をコンパクトにまとめた約3分のYouTube動画「うま味の基本」(https://www.youtube.com/watch?v=rDx_8XwF5WE)を視聴しました。

また、広辞苑に「うま味」が掲載されていることや、「旨味」と「うま味」は同音異義語であることを確認し、おいしさとうま味の関係について改めて認識してもらいました。
そして、うま味がもつ3つの特徴「舌全体に広がる」「持続性がある」「唾液の分泌を促す」を意識しつつ、数種の出汁やうま味食材をテイスティングし、座学で得た知識とともに経験としてうま味を認識できるよう指導しました。

さらに、グルタミン酸ナトリウム(MSG)の溶解実験も行いました。うま味を利用した調味料には、グルタミン酸ナトリウムを主原料とするものが多く見られます。その理由は、グルタミン酸は単体では水に溶けにくいのですが、ナトリウム塩の形にしてグルタミン酸ナトリウム(MSG)にすることで水に溶けやすくなり、料理に使いやすくなるためです。
今回はその性質を確認するため、グルタミン酸とグルタミン酸ナトリウムそれぞれを水に溶かす実験を行って溶解の様子を見比べました。

グルタミン酸(左)は白く濁って溶けないことを確かめました。

講義の後半では、遊離アミノ酸とタンパク質の関係や、うま味がからだの健康に果たす役割について説明。塩分を減らしても美味しさを保つ効果や、だ液の分泌を促す性質を利用した味覚障害の方のリハビリの例など、将来的に栄養や健康を軸に働くことを考えている人に知っていただきたい知識を説明しました。

学生の皆さんはたいへん熱心に講義に参加していました。講義後に寄せられた感想です。
「グルタミン酸ナトリウムが水に溶ける様子を見て、ナトリウム塩にする理由がよく分かりました。」
「うま味を使って減塩した食事を、保育園給食で使いたいです。」
「味覚障害とうま味の関係を知ることができてよかった。おいしい病院食のヒントになるかもしれない。」
「海外旅行しているとき、出汁の効いたうどんを食べるのが待ち遠しかったのを思い出しました。あの時は、うま味が欲しかったのだと気が付きました。」

皆さんには、今回得た知識を応用して、ぜひ次のステージでもご活躍いただきたいと思います。また家族や周りの人にも説明していただいて、うま味を上手に活用して健康的な生活を送っていただきたいと願っています。