五島ガストロノミーサミットでうま味について語る「うま味ってなんだ?」
2026.02.08
観光庁が実施する「食」の力を最大活用したガストロノミーツーリズム推進事業において、2025年6月、「恵み豊かな国境の島々を巡る ~五島ブランド食材と歴史・文化を五感で味わう旅~」(一般社団法人五島列島観光コンベンションビューロー)が採択されました。
国土交通省 観光庁 ガストロノミーツーリズムの推進
「食」の力を最大活用したガストロノミーツーリズム推進事業 採択一覧
島全体を通じた五島列島ならではの体験への期待が高まる一方、複数の行政区に分かれている五島列島では、地域間の連携や人と人とのつながりをさらに強めていくことが重要な課題となっています。
こうした背景のもと、ガストロノミーツーリズムの基盤づくりとして、地域住民の皆さんが五島の食の魅力を再認識し、相互につながることを目的に、2026年2月8日、「食の力で五島列島を一つに ガストロノミーサミット in きらり」が開催されました。
【食の力で五島列島を一つに ガストロノミーサミットinきらり】長崎県 五島列島 新上五島町公式
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当日は講演プログラムとして2つの講演が行われました。第一部では、京都の料亭「菊乃井」三代目主人 村田吉弘シェフによる「日本料理の基本について」と題した講演が行われ、日本料理の本質としての精神性や文化、だしやうま味の視点から日本料理の特徴をわかりやすくお話いただきました。また、五島の名産である椿油の搾りかすをつかった味噌の提案がなされ、新しい五島の名物になって観光にも役立つのではと示されました。できあがったら是非うま味物質を計ってみたいですね。

続いて第二部では、うま味インフォメーションセンターが講演に参画しました。株式会社MTG 統括総料理長であり、日本食普及の親善大使、日本料理アカデミーEU副理事長も務める林大介シェフと当センター理事 木戸妥恵がコラボレーションし、「うま味ってなんだ?」と題した講演を実施しました。本講演は林シェフからのお声がけにより実現したものです。


講演は林シェフとの掛け合い形式で進められ、参加された住民の皆さんも自然と耳を傾けていらっしゃいました。まず、「おいしさ」を感じる仕組みについて紹介し、見た目や食感、香り、味、環境など様々な要素が重なり合って私たちはおいしさを感じていること、そして「うま味」はその重要な要素の一つであることを伝えました。
さらに、食品中の代表的なうま味物質であるグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸について説明するとともに、五島産のまぐろには天然・養殖ともにイノシン酸が多く含まれていることを、当センターの分析結果をもとに紹介しました。
また、林シェフがとった昆布だしと鰹だしを用いた「うま味の相乗効果」の体験も行いました。会場ではその変化に驚きの声が上がり、うま味への理解が一層深まる様子が見られました。また、イベントで提供されたGOTOoneプレート※の料理に使われた合わせだし(ドライトマト+ドライマッシュルーム+焼きアゴパウダー)についての林シェフによる解説もあり、参加者はその味わいを思い出しながら理解を深めていました。

最後に、うま味を多く含む食材を組み合わせる等、うま味物質を上手に活用することで、唾液分泌の促進や、おいしさとカロリー低減、減塩の両立といった健康面への効果が期待できることも紹介されました。特に減塩は日本人にとって重要な課題であり、日常の食生活に取り入れやすい具体的な工夫についても林シェフから提案がありました。
イベント当日は、中五島高校生徒考案の「焼き五島うどん」と林大介シェフ・小見吉貴シェフ(共にMTG社)による料理を盛り合わせたGOTOoneプレート(前述※)の販売のほか、生産者による「五島うどん」づくり体験、「つばき油」絞り体験、魚捌き体験など、多彩なプログラムが実施されました。また、高校生や生産者によるプレゼンテーションも行われ、五島列島ならではの食の魅力とその広がりを体感できる一日となりました。

これらの取り組みは、地域のつながりを育み、将来的なガストロノミーツーリズムの推進につながる重要な一歩といえます。当センターとしても、本活動を通じて、五島列島の住民の皆様に自らの地域の食材のおいしさを支える要素の一つである「うま味」について知っていただくことができ、大変うれしく思っております。地域の食の魅力を再認識していただく一助となりましたら幸いです。
今後も、うま味インフォメーションセンターとして、うま味を軸に地域の食文化の価値をわかりやすく伝え、その魅力の発信に貢献してまいります。
