日本の 郷土料理と うま味

島根県 の郷土料理

うなぎ豆腐
うなぎ豆腐

1750年頃、現在の島根県松江市と安来市に隣接する中海で、突如としてうなぎの漁獲が豊富になったことから、出雲産のうなぎが有名になりました。籠に入れられたうなぎは天秤棒で担がれて安来港から出港し、出雲街道を通り大阪に陸路・水路を駆使して運ばれました。出雲産のうなぎは大阪の食文化に大きな影響を与えたと言われており、一時期は「出雲屋」という名前のうなぎ店が乱立したほどだといいます。現在でも出雲地方には多くのうなぎ屋が店を構えています。ほとんどが養殖うなぎになってしまいましたが、郷土の味を今も守り続けています。特に「うなぎ豆腐」は手軽に作れるため、家庭料理としても浸透しています。

しじみ汁
しじみ汁

島根県東部の斐伊川(ひいかわ)最下流に位置する宍道湖(しんじこ)は全国で7番目に大きな汽水湖です。大粒のヤマトシジミは、国内トップレベルの漁獲量を誇り、全国的にも有名です。宍道湖でとれる代表的な食材「宍道湖七珍」のひとつに数えられており、特に出雲地方では、このしじみを使った「しじみ汁」が日常食として根づいています。 ひと昔前は、しじみをどっさり積んだ箱を乗せたリヤカーをおばあさんが引いてまちなかを売り歩く光景がよく見られ、東京の納豆売り、京都の豆腐売りといった物売りと並ぶ、朝の風物詩だったといわれます。 年間通じてとれるため日常的に食べられますが、土用に食べる「しじみ汁」は特に格別とされていました。この時期のしじみは身が大きく、プリプリとした食感で栄養価が高いため、夏バテ予防としても重用されます。